08 いつしかあなたが気になっている模様です

「昇進!?」

ぼうっとしてたらそんな声が聞こえてきた。随分まじめそうな人だなと横目で見てたら平子隊長に注意をされていた。
そこから話は膨らみ、享楽隊長が説明を始めた。正直誰がどこに昇進しようが興味はない。話を聞き流してたら、六車隊長が呼びに来た。いよいよ隊首会が始まるのだろう。少し、緊張する気もするが私も隊長たちに続いた。

並んで待ってたら、見慣れた姿が入ってきて。やっぱり浦原3席だったかと納得してたら、各々の声が聞こえてきた。
ふと声が聞こえたような気がして、隣を見たらまじめそうな彼の冷ややかな目に鳥肌がたった。総隊長の話もそこそこに私には隣の彼が気になって仕方がなかった。この男は何者だ。名前は知ってる、優秀だと評判のこの男は、何か深い闇を抱えてる気がしてならない。

二番隊の中でも犯罪者を取り締まる機会の多かった私の勘が激しく警報している。この男は何かを企んでいる、恐ろしい何かを。特有の目をしているのだ、犯罪者とは。犯罪者の目を持っているのだ、しかも私が見てきた中でも一番恐ろしい目を持っている。


なぜ、この男を副隊長にしたのだろうか。この男は副隊長にするにはあまりにも危険すぎる。
けど、平子という男は頭の良い人間だ、何か考えがあってあの男を副隊長にしたのだろう。考えても埒が明かないことは分かってるが考えてしまうことは私の本性を見抜いたあの男の事ばかりで……


「……」

「…い」

「……おいっ名前!もう隊首会終わったぞ。」

『っへ?』

「ったく、オメーって奴は……意外と心あらずって事が多いよな……」

『も、申し訳ございません。』

「まあ、気持ちは分からなくもないぜ。総隊長の話はちっとつまらねえからな。けどちゃんと聞いてもらわないと困るぜ。今度から気を付けろよ。」

『はい。……あの少し頭を冷やしてきてもいいですか?』

「おう、いいぜ。オメーは少し働きすぎだからな。休んでこい。」

『ありがとうございます。』




気がついたら私の足は五番隊の隊首室の前に行っていた。何がしたいんだ、私。
来てみたはいいものの平子隊長と話すことなんてなにもない。
しかもこの前の今日で気まずいことこの上ない。

どうするべきか、困って立っていたら恐らく五番隊の席官であろう人が通りすぎようとしたところで、立ち止まった。分からなくもない、今の私はとても怪しい。

『あ、えっと……その……』

「平子隊長に用があるのですね、今呼んできます。」

『え、ちょっと、待っ』

「平子隊長、七番隊副隊長の方が隊長をお呼びです。」


まじかよ。


「名前ちゃんやないか、どないしたん?」

『え、あの、ちょっと、私お腹が空いてて……』




まじかよ、私、何言ってんだ。

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