01:王子様見つけました
昔からシンデレラという話が大好きだった。どんな苦境にも負けないシンデレラが王子様と出会って恋をして、一度は離れてしまったけどガラスの靴を辿って二人は永遠に結ばれる。
いつかそんな恋がしたい、とずっと思ってた。
そして入学式の今日、真新しい白いブレザーを通した私は運命の王子様に出会った。
「怪我はないかい?」
入学式初っぱなに寝坊して教室を間違えて階段から落ちるというあり得ないスタートをきった私の目の前にいるのはまさにガラスの靴を持った王子様で、
「ガラスの…靴」
「え?」
これは君の上履きだよね?と困惑した王子様はご丁寧に私の靴を拾って履かせてくれた。優しすぎる、そしてイケメンすぎる。まさにあれだ、女に生まれてよかった、だ。
少し眉間に皺を寄せて、危ないから廊下は走るもんじゃないよ、という姿も美しすぎる。
「とりあえず怪我がなさそうでよかった」
じゃあ俺は行くよ、と言って去っていく王子様に
「王子様、お名前は?」
と思わず声をかける。
「…俺は王子様ではないよ」
とクスリと笑った赤い髪の王子様は、
「君にはまた会えそうだからその時にね」
そう言って去っていった。完全にノックアウト、惚れない女はいない。うん、絶対。
12歳、苗字名前、王子様を見つけました。
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