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side倉間
「南沢さん」
「倉間っ?」
霧野と南沢さんが話しているのを目撃、そして立ち聞きさせていただいた。霧野と南沢さんが別れるのを見計らって、南沢さんの前に出る。
「俺も、南沢さん幸せにしたいっす」
「お前、今の話聞いて…?」
「勿論」
今朝からなんだか南沢さんに避けられてる気がして、ついでに三国さんも南沢さんに避けられていたから、何かあると思っていたら、霧野に先を越された。
「俺、てっきり三国さんと付き合ってると思いましたよ」
「お前もかよ…」
「ねえ、フラれたなら俺にしませんか?」
「は?」
「俺、南沢さんを絶対幸せにしますよ」
はっきりと俺がそう言うと南沢さんは俯いて小さな声で、ごめんと言った。
「なんで!!」
「俺はまだ、三国が好きだから」
「それでも、良いです」
「良くない、だろ」
「なんで」
「お前を幸せにしてやれない」
「俺は南沢さんの傍にいるだけで、幸せっす」
南沢さんはなぜか、今にも泣きそうな顔をしていた。泣きたいのはこっちだ。なんで、なんで、南沢さんはこんなに三国さんが好きなんだ。
「そんなんじゃ幸せになれねぇよ」
「なれますよ!!」
「なんで、言い切れるんだよ」
「南沢さんが好きだからです。この世の誰より、南沢さんを愛しているんです」
(初めての超直球の言葉)
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