離したくない
いつからだろうか、気がついたらあいつを目で追うようになったのは。紫色の髪が視界に入る度、胸が高鳴る。これが恋だと気づいたのはごく最近の事だった。
「南沢」
「ん、…あぁ、三国か」
放課後。屋上で昼寝をしている南沢を見つけて、声をかける。南沢の目がダルそうに開いて、特徴的な茶色の瞳と目が合った。
「授業終った?」
「とっくに終ったよ」
南沢はよく午後の授業をサボって屋上で昼寝をしている。それを迎えに行くのが俺の役目で、その時間がとても好きだった。
「あと一時間」
「そんなに待てるか」
「三国のけち」
「けちで悪かったな。ほら帰るぞ」
俺がそう言うと、南沢は眠たそうな目を擦りながら、起き上がった。俺が歩き出そうとすると、待って、と呼び止められた
「なあ、三国」
「ん、何だ?」
「……好きなんだ、お前のことが」
俯いてそう言った南沢の顔が一瞬で真っ赤になる。それから逃げるようにフェンスの方へ走った。それを追いかけようとしたら、南沢に怒鳴られた。
「来んな!」
俺に背を向けたままそう言った南沢の言葉は無視して、俺は南沢の背後に立った。
「南沢」
俺が名前を呼ぶと、南沢が振り向く。その瞬間ぎゅっと南沢を抱きしめた。
「俺も、南沢が好きだ」
「…え、うそ?」
「嘘じゃない」
そう言うと南沢がぎゅっと俺の制服を掴んで、それから泣き出した。
「バカ、もっと早く言えよ」
と、俺の腕の中で泣きながら言う南沢が堪らなく愛しかった。ずっと抱きしめていたら、「いい加減離せ」と文句を言われたが、より強く抱きしめてやった。
遅くなりました。内容のマンネリ化が激しいです。
2011/11/30
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