蘭拓
*女装注意
今日はハロウィンだよ、と言う霧野の手にはなにやら怪しい服が握られている。俺が恐る恐るその正体について聞けば、霧野は答えの変わりにその服を差し出した。
「着ればわかるよ、はいこれは神童の」
はぐらかした時の霧野が考えてる事は大抵ろくな事はないのは承知だが、断るという気も起きなくて、渋々と服を受けとる。あれ、これスカートだ。俺がこれは着れないと断ると、大丈夫俺も着るから、と言った。一体何が大丈夫なんだ。
結局押しきられて俺が着替え始めると、霧野も着替え始めた。霧野によればどうやらこれは魔女の仮装らしい。見た目はどう見てもゴスロリにしか見えないけれど。俺が大方着替え終わると、霧野が仕上げに背中のリボンを結んで俺の頭に帽子を乗せた。
「神童、俺のも」
そう言って背中を向ける霧野のリボンを丁寧に結んでやった。
「神童、可愛いね」
俺の方に向き直ってそう言った霧野に、お前の方が似合ってるよ、と言ってやる。霧野は一瞬嬉しくなさそうな顔をしたが、その後、当たり前だろ、と言って笑った。
「あ、そうだ、魔法かけてよ」
「へ?」
霧野の突拍子もない発言に思わず間抜けな声が出る。
「だって、魔女でしょ」
服装だけな。しかも服だってただのゴスロリだ。
「大丈夫。神童ならかけれる魔法」
そう囁いた霧野の顔がくっつきそうなくらい近くにあって、それだけ顔が熱くなる。
「『神童が俺の事を愛する』って魔法。かけてよ」
そう耳元で囁かれて、一層顔が熱くなった。横を向くと霧野の綺麗な青緑色の目が俺を真っ直ぐ見ていた。ああ、バカだな霧野。俺は被っていた帽子を霧野の頭にのせて、恥ずかしい台詞を言ってやった。
「俺はもうとっくにその魔法にかかってるよ」
(かけたのはお前だろ)
ハロウィン関係なくなったよ、しかも甘過ぎた…。時間があったらもうひとつ書きたいな、とか思ってる
2011/10/31
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