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side南沢


三国にフラれた事は、悲しくて苦しくて、辛かった。わかりきっていたことではあるけれど、それでも辛いものは辛い。これでもかと言うくらい泣いて、車田に報告して、そしたらまた涙が出てきて、ああこれじゃまるで神童みたいだな、なんて思った。

神童が告白したら三国はどうするのか、なんて馬鹿みたいな事考えて、二人並んで歩く姿を想像して、余計に悲しくなった。自分が三国の横に並ぶより、神童が並んだ方がお似合いで、それがなんだか嫌だった。

明日から、普通に三国と接する事ができるだろうか。否、三国が普通に接してくれるのか。今まで通りならまだ俺は報われるけれど、掬われない。ああまた明日からも三国を思い続けるんだ。きっとエンドレス。苦しくても止められないのは、何でなのかね。

だって、ほら。無意識に携帯に手を伸ばしてあいつと俺が二人で写るの写真を見ている。あぁいっそのこと、この写真を消したら、俺の想いも消えてしまえばいいのに。そしたら楽になれるのに。


どんどん大きくなる苦しさと切なさに、なんだか耐えきれなくなって、この思いを少しでも吐き出せば楽になれるんじゃないかと思って、携帯のアドレス帳を開く。『倉間典人』の電話番号を出し、発信ボタンを押そうとして、止めた。こんな時だけ都合良くあいつに頼って、期待持たせるような事をするのは、きっと最低だ。発信ボタンの代わりに電源ボタンを押して携帯を放り出す。

もう、寝てしまおう。眠ればきっと、何も考えなくて済む。

ベッドにうつ伏せになって、なぜか思い浮かんだのは倉間だった。明日からはあまり関わらないようにしよう。俺は絶対にあいつを好きになれないと思うから、期待させたくはないんだ。

(そう思える位には大切な後輩)




乙女沢さん

2011/10/04










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