例えどんな貴方でも


「南沢さん、フィフスセクターの一員って本当なんですか!?」

南沢さんを呼び出して、開口一番の俺の台詞。情報のソースは剣城。あいつの事を信用しきったわけじゃないけれど、書類のような物まで見せられたら信じるしかないだろう。(本当は信じたくなかったけどさ)南沢さんは当たり前だけど、物凄く驚いた。そしてそのあとゆっくり頷いた。(否定して欲しかったよ)

「何で黙ってたんです!?」

自分でも驚くくらい荒い声で南沢さんに問う。(多分顔も凄い険相だろう)南沢さんが少しびくっと怯えていた。

「南沢さん!!」

俺が怒鳴る。まるで責めてるみたいだ。(みたいじゃなくて本当に責めてるよな)本当は責めるつもり何て無いのに、俺の心は落ち着かない。南沢さんはすっかり怯えて、無意識に俺との距離をとっていた。

「言えるわけないだろ!!」

少し沈黙が続いたあと、俯き気味だった南沢さんが俺の目を真っ直ぐ見て、さっきの俺に負けないくらい怒鳴った。

「サッカーが好きな奴に自分がフィフスセクターの一員だなんて、言えるかよ!!そんな事言ったら、嫌われるに決まってんだろ!!俺は、お前に、嫌われたくなかったんだよ!!」

はあはあ、一気に怒鳴った南沢さんが息切れする。

「何だよそれ。俺がそんなちっぽけな事で南沢さんを嫌いになるような人間に見えたのかよ!!」

声が荒くなる。信用されていないみたいでとても悲しかった。

「そう言う意味じゃねぇよっ!!馬鹿倉間っ!!」

そう言うと南沢さんはその場から走り去ろうとした。その顔がとても悲しそうで、それを見て自分の言動がどれほど南沢さんを傷つけていたのかを知った。追いかけなきゃ、と思って全力で走る。怒鳴りあいをして只でさえ体力を消耗して疲れきった体に鞭打って、やっとの思いで捕まえた時にはお互い体力の限界だった。

「南沢さん、ごめんなさい。言い過ぎたっす」

「俺も信用しなくてごめん」

走った事でお互い頭が冷えたのか、ゆっくりと話ができそうだった。

「先に言っておきます。俺はどんな南沢さんも大好きっす。例えフィフスセクターでも」

「倉間…」

我ながらなかなか格好つけた事を言ったな、と思ったけれど、その言葉に嘘はない。
「ありがと」

そう言って南沢さんが笑った。今までで一番綺麗な笑顔で、凄くドキッとした。


(それが貴方の本当の笑顔なんですね)




フィフスセクター設定うまく活用できてませんね。リクエストありがとうございました

2011/09/21










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