拓南
電話
学年も家柄も性格も、何もかも違う俺たちの唯一同じものは部活だったのに、それすら消えてしまえば、俺たちが付き合っているということすら、なんだか曖昧になって消えてしまうのではないかと、凄く不安になる。
放課後、教室の窓から外を覗く。グランドではサッカー部が練習している。俺も少し前まではあの中にいたと思うと何だか不思議だ。
サッカーをしている神童は、かっこいい。そこに惚れたんだけど。ボールを追いかける姿とか、皆に指示を出す時とか、いつもの泣き虫な神童が嘘のようだ。
ちら、と振り向いて俺の教室を覗いた神童と目が合った。なんだか恥ずかしくて目を反らす。暫くして携帯が鳴る。神童からの着信だ。
「なんだよ」
『南沢さん、最近ずっと窓から見てますよね』
「見てねえよ」
『照れないでください』
「照れてねえ」
『サッカーする俺かっこいいですか?』
「んなわけねえだろ」
『そうですか…』
「…少しだけなら」
『はい?』
「ほんの少しはかっこいい」
『あ、顔赤い』
「見えてねえだろ」
「見えてますよ」
神童の声が聞こえたのは、電話からではなく、俺の横からだった。
部活サボって南沢さんに会いに行く神童。自分で書いてなんだけどキャプテンがそれでいいのか
2011/08/31
←