最近神童の元気が無い、思い悩んだ顔をいつも浮かべでいる。そこで俺は、気休めにしかならないかもしれないが、次の休日に神童をデートに誘った。最近見ていなかった笑顔がたくさん見れることを願って。
Date!!
日曜日。稲妻町の駅で神童と待ち合わせをした。俺が待ち合わせ場所に着いたのは、待ち合わせ時間の10分前だったが、すでに神童がいた。
「神童、おはよう。待たせてごめんな」
「おはよう。いや、今来たところだ」
「本当か?なら、よかった」
「今日は誘ってくれてありがとな」
そう言って神童は微笑んだ。
「えっと、神童は買いたいものがあるんだよな?」
「あぁ。新しいスパイクを購入したいんだ」
「じゃあ、××町行くか。あそこにあるスポーツショップは品揃えいいもんな」
「そうだな。――あ、もうすぐ電車来る」
「本当だ、急げ!!」
俺と神童はけっこう本気で走って、電車に滑り込んだ。(よい子は真似しちゃだめ)
「なんとか、間に合ったな」
俺がそう言うと、神童がこくりと頷いた。
「席、空いてるから座ろう」
俺が丁度二席空いてる席を指差した。そして二人で席に座る。目的地までは二駅で、その間サッカーには関係ないクラスとかの話をしていた。
「これとこれ、どっちが良いと思う?」
「こっちかな」
「こっちか…。あ、あれも良いな…」
スポーツショップに入ってから約一時間。神童は優柔不断で、まだ迷ってる。
「神童、もうお昼だよ」
「え、もうそんな時間か!?」
神童は携帯で時間を確認すると、はっと驚いて、それからあたふたして、結局さっき俺が選んだやつを持ってレジへ向かった。神童の慌てる姿は、なんだか小動物みたいで可愛いな、なんて思ってると神童が会計を済ませて来た。
「ごめん、待たせて…」
「大丈夫。それで良かったのか?」
「あぁ。霧野が選んでくれたからな」
「可愛いこと言うんだな」
「な、別に可愛くはない!!」
照れて頬を染めながら、顔を横に振って否定する。神童は可愛いと言われると全力で否定するけど、その仕草がまた可愛い。口には出さないけど。
お昼は近くの中学生らしくファーストフードで取ることにした。神童は普段あまりハンバーガーとかを食べることがないから、ここでも優柔不断に悩んで、結局俺と同じチーズバーガーを選んだ。トレーを持って二階に行くと、結構な人がいて殆どの席が埋まっていた。運良く窓側に丁度二席空いてるところを見つけて、二人並んで座った。
「……」
神童が無言だな、と思って隣を見ると一生懸命チーズバーガーを食べていた。神童にとってハンバーガーを崩さないように食べるのは、至難の技らしい。俺はその間ポテトを食べていた。
「次、どこ行きたい?」
「んー、特に無いな。霧野は?」
「じゃあ、CDショップ」
二人でポテトを食べながら会話をしていると、神童の口元にケチャップが付いてるのを発見した。
「神童、ケチャップ付いてる」
「え、ど、どこだ?」
神童が慌てて拭き取ろうとしてるけど、残念なことに全く別のとこを拭いている。
「ここだよ」
そう言って神童の口元に付いてたケチャップを舐め取った。
「き、霧野…っ!?」
案の定神童は顔を真っ赤にして慌てふためいた。
「神童、落ち着いて」「おまえ、ここ人いるんだぞ!?」
「大丈夫だって。見られても」
「お前が平気でも俺は平気じゃないっ!」
「ほら、食べ終わったなら早く行こう」
「話しそらすな!!」
自分と神童の分のトレーを片付けて、店の外に出た。その間神童が何かぶつぶつと文句を言っていたけれど、それが照れ隠しだとわかっていたので、敢えて聞き流す事にした。
お昼のあとはCDショップの他にも適当にお店を数件回り、日が傾いてきた。そろそろ帰ろうか、と言ったら神童は帰りは歩きたいと言ったので、歩いて帰る事にした。
「あ、霧野。あっち、一番星だ」
隣に並んで歩いていた神童が薄暗くなった夜空を指差す。その先には確かに星が輝いていた。
「本当だ…」
「久しぶりに見た」
「最近ゆっくり空なんて見てなかったからな」
「あぁ」
最近はサッカー部の事で頭が一杯で、それは神童も同じで、こんな風にゆっくり空を見上げるなんてしていなかった。
「霧野」
「ん?」
「ありがとう。今日は俺を元気付けるために誘ってくれたんだろ?」
「どういたしまして。少しは元気になった?」
「あぁ」
そう言って頷いた神童は、朝より元気そうな表情で微笑んだ。
「なぁ、神童」
「ん?」
「キス、して良い?」
そう言うと神童は少し驚いて、そして首を縦に降った。俺は神童を木陰に引っ張って、神童の唇に自分の唇を重ねた。
無駄にだらだら長くなった上に全体的にまとまりが無い文章に…。リクエストありがとうございました
2011/06/27
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