天→(←)南


大嫌いだ!!


「あ、南沢先輩!!」

部活を辞めてから、松風は廊下ですれ違う度に俺に話しかけてくる。いつもはスルー。俺のサッカー(で楽に良い高校に入るという夢)を奪ったのはあいつだ。だからあいつが嫌いだ。よって話しかけられても無視。そこ、大人気ないとか言うな。

「待ってください!!」

いつもは話しかけるだけの松風が、何故か今日は追いかけて来た。なので俺は全力で逃げる。一年なんて簡単に撒けると思ったのに、逆に追い付かれて、腕を掴まれた。現役の時なら絶対に撒けたのに。思ったより体力は落ちているらしい。

「離せ!!」

「嫌です」

久々に全力で走って、息が上がって喋るのもキツい。松風は俺の腕をしっかり握って離さない。夢中で走っていたから気付かなかったけれど、周りに人気がない。それだけは好都合だ。一年に絡まれているとこなんて見られたくない。

「なんで、逃げるんですか」

「お前が、嫌いだからだ」

キッ、と睨み付けてみたが効果はないらしい。俺の方が背が低いから睨み付けても迫力が足りないのかもしれない。

「南沢先輩」

今度は松風が俺を真剣な目で見た。ちょっとかっこいいかも、とか思いかけた俺。いやいや幻覚だ、そんなのあり得ない。そんな葛藤をしていると、松風に腕をぐいっと引かれて、額にキスされた。

「俺は南沢先輩が好きです」

告白された。一年に、男に、松風に。顔が急に暑くなって、赤くなってるんだろう。そんな表情は見せたくなくて、松風に背を向けた。すると松風が俺の耳元で囁いた。

「南沢先輩って本当は俺の事好きですよね」

そんなわけないだろ。
俺はお前なんて大嫌いだ!!




嫌よ嫌よも好きの内。なんだか南沢さんのキャラが激しく崩壊しています。

2011/08/28










人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -