天南(南沢がデレてる)


デレデレな話


「天馬」

一人で家に帰ろうとしたら、南沢先輩が俺の服の裾を掴んで止めた。俺より頭が低い位置にあるから自然と上目遣いになるらしく、凄い可愛い。

「帰ろ」

そう言って俺の手に触れてくる。これは南沢先輩から“手を繋ごう”の合図だったりする。俺は南沢先輩の手を握って(ちゃっかり恋人繋ぎにしておいた)歩き出した。南沢先輩と俺の家は反対方向だから、普段は一緒に帰らないけれど、ごくたまに南沢先輩に誘われた時は先輩を家まで送っていく。


帰り道は俺が話さないと大抵無言になる。けれど、居心地の悪さはない沈黙なので、あまり話さない。南沢先輩もそれは同じみたいで、時折こちらをちらっと見てはまた目線を反らし、たまに手をぎゅっと握ってくる。ああ、なんて可愛いんだろ。

「先輩、着きましたよ」

あっという間に先輩んちの前に着く。南沢先輩は当たり前のように俺を引っ張り、寄ってけ、と言った。ああ、今日は相当甘えたいらしい。


南沢先輩は普段はツンツンしている癖に、本当にたまに(主に淋しくなった時や嫉妬した時)とてもデレデレになる。普段の南沢先輩も好きだけれど、こうやって素直に甘えてくる南沢先輩も好きだ。南沢先輩ならどんなでも好きだけど。(まさに恋は盲目ってやつ)

「天馬、キス」

南沢先輩の部屋に入ってすぐに、先輩がキスをねだる。普段はねだらない(したいなら自分からしてくる)南沢先輩のねだる姿は本当に貴重だ。言われた通りに南沢先輩の唇にキスをする。南沢先輩は積極的に舌を絡めてくる。何でこの人はこんなにキスが上手いんだろうか。暫くして唇が離れるとほんのり上気した顔の南沢先輩がむちゃくちゃエロい。押し倒したいな、なんて考えてると、南沢先輩が俺をベッドに引っ張った。ぽす、と音がして南沢さんの上に俺が被さるような形でベッドに倒れる。

「天馬」

そんな可愛い声で名前を呼ばれて、俺の理性がぷつんと切れた。




天南の日記念。デレデレな南沢さんを書いてみたかった。いつも中途半田です。

2011/08/10










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