-9-
side三国
「好きだ」
と、南沢が言った。この場合、友達としてとか、仲間としてじゃなく、恋愛的に好きだと言う意味なのだ、と恋愛に鈍感だと言われる俺でもわかった。
「…っ」
南沢がここから立ち去ろうとするのを、腕を掴んで止めた。驚いてこちらを振り替える南沢の目には涙が溜まっていた。
「待ってくれ」
南沢が俺を好き、とは考えたこともなかった。好き、と言われて嫌悪感はわかなかったけれど、俺は南沢を恋愛的に好きではなかった。だけど、こんな悲しそうな顔の南沢を放っておけなくて、思わず抱き締めてしまった。
「ごめん」
「…謝るなら、抱き締めんなっ」
そう言いながら、南沢が俺の背中に手を回す。南沢は俺の肩に顔をうずめて、嗚咽し始めた。俺はそんな南沢を黙っている事しかできなかった。
「三国」
「何だ?」
「お前の事諦めるから、…キス、して。」
南沢が俺の目をまっすぐ見て言った。そんな南沢の頼みを俺は断る事ができなくて、ゆっくりと顔を近づけて、キスをした。
「ありがとう」
そう言って南沢はまた泣き出した。
(ごめんな)
南沢のターン終了。次からは拓人のターン
011/07/31
←