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side南沢
ベッドの横で眠っている三国を見る。そう言えば最近疲れた顔していたな、なんて思いながら三国の顔を見つめてみる。寝てるからいいよな、なんて思いながらそっと頭に手を伸ばして撫でてみる。起きたらいろいろ聞いてやろう。何でこんなになるまで一人で抱え込んでいたのか、そもそも何でお前は誰かに相談しないのか、と。そしたら三国はきっと困った顔をするんだろうな、なんて考えて、ああなんで自分は三国の事になるとこんなにいろいろ考えるんだろうな、なんて思ってた。
「……沢、南沢」
ぽんぽん、と誰かに肩を叩かれて目が覚める。いつの間にか寝ていたらしい。
「南沢」
もう一度名前を呼ばれて目を空けると、いつの間にか三国が起きていた。
「三国、いつ起きた?」
「今さっきだ。それよりどうしてここにいるんだ?」
「音無先生に頼まれた。調子どう?」
「大丈夫だ。心配かけてすまなかったな」
そう言って三国が微笑んだ。まだ熱が下がっていないはずなのに、無理してるんだなってのがなんとなくわかった。
「無理すんな、ばか野郎」
俺がそう言うと、三国は少し驚いて苦笑した。そしてなぜか俺の頭を撫でてきた。
「な、撫でんな」
俺が(多分真っ赤になりながら)そう言うと三国は手をどけた。
「悪い、つい。嫌だったか?」
「嫌じゃねぇけど」
恥ずかしいだろ、とは続けられず口を噤む。言ってしまえたら楽なんだろうけれど、言ったって三国が困るだけだ。
「なんか今日の南沢は可愛いな」
「は?」
人が頭の中でいろいろ考えているというのに、こいつは意味不明な事を言い出した。俺が可愛い、とかありえないだろ。
「南沢」
俺がずっと黙ってるのを不思議に思ったらしい三国が俺を呼んだ。
「…三国」
おかしい。今日はいつもみたいに冷静でいられない。好き、とう気持ちがどんどん込み上げてきて止まらない。遂に俺も馬鹿になったらしい。衝動的に、ずっと黙っていた事を口にしてしまった。
「好きだ」
(遂に溢れた君への想い)
2011/07/31
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