-6-


side倉間


三国がぶっ倒れたんだ、と南沢がいつものポーカーフェイスを崩して焦った様子で言った。休み時間の時に倒れたらしい。倒れたと言っても、足から力が抜けてバッタンみたいな感じで、意識が無くなったとかじゃないらしい。自力で保健室に行く三国さんに付いていこうとしたら断られたらしい。だから部活中妙にそわそわしていたんだな、と一人納得して今も落ち着きの南沢さんに一言。

「保健室、行けばいいじゃないっすか」

本当は行ってほしくないけれど、三国さんの事でそわそわしている南沢さんを見ているのは精神的にキツいので、とりあえず何処かに行って欲しかった。南沢さんは、そうなんだけどさ、と呟いてから少し頬紅くした。

「迷惑、じゃねぇかな?」

あぁ、なんて乙女思考。あなたは恋する乙女ですか。(確かに恋はしているけれど)俺が一度も見たことのない少し恥ずかしがるような表情は、正直すげえ可愛いけど、なんだかとてもむかつく。嫉妬、なんてできる立場じゃねぇけど、南沢さんをこんな表情にさせる三国さんを狡いと思った。

「さっさと行かないと三国さん帰っちゃいますよ」

そう言うと南沢さんは、はっとなってそれから小さな声で一言、行ってくる、と言って保健室に向かって走り出した。南沢さんが見えなくなった頃、俺は一安心して溜め息を吐いた。可愛い南沢さんは大歓迎だけど、俺の目の前で三国さんの事考えるのはやめてほしい。まぁ、我儘だってわかってるけどさ。嫉妬も我儘もできる立場じゃないけど、そんな感情抱いちゃうのが恋って奴でしょ。

(ついでに切なさも抱いてる)




2011/07/28









人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -