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side神童
自動販売機の近くで、三国さんを見かけた。その隣には南沢さんがいる。南沢さんはあまり感情を表に出すタイプでは無いけれど、今は頬が緩んで嬉しそうな顔をしている。いいな、なんて思いながら俺はその光景を見ていた。
「何してるんですか、キャプテン」
「て、天馬!?」
急に後ろから天馬に声をかけられた。俺が振り向いた時、天馬は三国さんと南沢さんを交互に見て、なるほど、と呟いた。
「行かなくていいんですか?三国先輩のところ」
「行けるわけ無いだろ」
三国さんと南沢さんが仲良さそうにしている場面に入っていく勇気は無い。
「そうやっていつもキャプテンは、何にもしないんですね」
「っ、うるさい」
図星、とわかっているけれど、だからこそ否定したくなる。
「俺だって、今三国さんの隣に行きたい。だけど、行けないんだ」
三国さんと南沢さんには一年前からの付き合いがあって、そんなハンデを背負った恋なのに、自分はいつも消極的で、そんな自分が嫌なのに、何もできなくて、そしてまた嫌になる。
「キャプテン、泣いちゃダメですよ」
俺はいつの間にか泣いていたらしい。天馬に言われて、初めて気づいた。
「…わかってる!!」
だけど、止めようとしても涙は止まらず、ポタポタと垂れて地面に染みを作った。
(そんな俺はただの泣き虫)
2011/07/11
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