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side南沢


放課後の部活が終了後、持ってきた飲み物が無くなったので自動販売機に向かう。途中ですれ違った倉間は牛乳を持っていた。さっき俺が言ったことを気にしているのだろうか、なんて考えてたら自動販売機についた。

「げ、小銭が無い」

財布を開けると、五千円札しか入っていなかった。自動販売機は残念な事に、小銭か千円札しか使えない。仕方ない諦めるか、と思って帰ろうとする。

「お、南沢」

「っわぁ、…三国」

後ろから急に三国に声をかけられて、間抜けな声が出た。三国も飲み物を買いに来たようで、手に財布を持っていた。

「南沢は何も買わないのか?」

百円玉を入れて緑茶のボタンを押した三国が俺に尋ねる。

「小銭忘れた。五千円札しかない」

俺がそう答えると、三国はまた百円玉入れて、コーラのボタンを押そうとしたが押さず、スポーツドリンクのボタンを押した。

「ほら」

「え」

三国が今買ったばかりのスポーツドリンクを渡してきた。

「喉渇いてるんだろ?」

どうやら俺に飲み物を買ってくれたらしい。俺は礼を言ってて飲み物を受けとる。平然を装ってるけど、本当は凄く嬉しい。好きな奴から飲み物を奢ってもらえたら、誰だって嬉しいだろ。

「なぁ」

「ん?」

「何でさっきコーラと迷ってたんだ?」

スポーツドリンクの蓋を空けながら俺が尋ねると、三国は

「お前、コーラ好きだろ?だけど、さっき凄く汗を掻いていたから、スポーツドリンクの方が良いと思ったんだ」

と、答えた。俺はさらに嬉しくなった。三国が俺の好きな飲み物を覚えていてくれて、俺の事見てくれて、心配してくれて、それが本当に嬉しくて、思わず顔が緩んだ。
(お前が好きで好きで仕方ない)




2011/07/10









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