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side蘭丸


「南沢さんは、三国さんが好きなんだと思う」

俺と三国さんが話ているのを見ると決まって三国さんを見つめながら哀しそうな顔をするんだ、と言った神童の肩が震えていた。

「二人は同じクラスで、一年生の時から知り合いで、俺は三国さんといる時間が南沢さんより少なくて」

浮かべた涙を堪えようとして、やはり堪えられなくて、そんな涙がポタポタと神童のズボンに染みを作る。

「狡いって思って、だけど狡いって思った自分が嫌で」

こんなんじゃ三国さんを好きでいる資格が無い、なんてしゃくりあげながら言われて思わず、バカだな、と呟いた。

「恋ってそんなものだよ」

小さな子をあやす様に神童の柔らかい髪を撫でた。

「誰かを狡いと思うのは、当然だよ」

俺だって三国さんを狡いと思うし、と心の中で付け足しておいた。

「だから、泣かないで」

三国さんの事で笑顔になるお前を見るのは慣れたけれど、三国さんの事で涙を流すお前は見たくないんだ。泣くほど辛いなら、諦めれば良いのに、なんて思うけどそれができない事だってわかってる。

だからせめて、恋人じゃなくて良いからお前の傍に居たい。泣き顔は全部笑顔に変えるから、お前の傍に居ると決めたんだ。


(それは幼馴染みの俺の特権)




2011/07/05









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