アジア予選中の基緑


とある朝の話


朝。ヒロトは付き合ってから毎日俺を起こしに部屋までやって来るようになった。

「おはよう、緑川」

って言って、優しい笑顔で俺を起こす。

「…ん、ヒロト。おはよ」

俺が寝惚けながら挨拶をすると、ちゅっ、と唇にキスされた。

「な、何するの!?」

寝惚けていた頭が覚醒して、顔が赤くなるを感じながら俺が聞くと、

「おはようのキス」

と、爽やかに笑った。(爽やかに言うな、変態)

「ねぇ、ヒロト。着替えたいんだけど」

「着替えればいいじゃないか」

「うん、だから部屋から出てって」

「嫌だ。男同士だから大丈夫でしょ?」

俺がパジャマからジャージに着替えようとしているのに、ヒロトは部屋を出ていこうとしない。確かに男同士だから普通は大丈夫だけど、じっと俺を見てるヒロトは危険すぎると俺の今までの経験が言っている。

「早く着替えないと、練習に間に合わないよ?」

確かに、早く着替えないと練習が始まってしまう。けれどヒロトが部屋を出る気配はまったくない。仕方なく俺は着替え始めた。ヒロトには背中を向けて、まずはパジャマのボタンを外す。背中から感じる視線はあえて無視だ。パジャマを脱いで、Tシャツを着ようとした瞬間、視界がぐるっと回転し、目の前にはヒロトの顔があった。つまり、押し倒された。

「ヒロト、退いて」

「嫌だ。緑川が煽るから悪いんだよ」

と言って、人に責任を押し付けてきた。(俺は煽るようなことしていない)

「練習始まるよ」

「うん、だけど緑川が悪いんだ」

一向に退こうとしないヒロト。しかも右手がパジャマのズボンに伸びてきた。(何しようとしてるんだよ、変態)ピンチだ。俺は上半身裸で、しかも押し倒されている。まずい、物凄くまずい。

「リュウジ」

不意討ちで名前を呼ばれて、キスされた。さっきのとは違う、深いやつ。本格的にまずい。このまま流されてしまいそうだ。そう思った時、部屋のドアが空いた。

「…おい、緑川。練習始ま……!?」

突然入ってきた風丸は、ヒロトに襲われている俺を見つけると、ヒロトに飛び蹴りをした。

「緑川、無事か?」

「う、うん」

風丸は俺にTシャツを着せて、ヒロトを引っ張って部屋の外に連れ出してくれた。外からお説教の声が聞こえた。今回は助かったけど次助かるとは限らないから、気を付けないとね。




ヒロトは変態のイメージがある。好きなんだけどね。風丸は面倒見が良さそう。

2011/06/01











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