倉南。蘭拓要素あり


相合い傘


さっきまでは晴れていたのに、部活が終わって着替えてサッカー棟を出ると、雨が降っていた。松風、西園、浜野、車田が走って帰り、速水、天城、三国は傘を差して帰った。速水と天城は置き傘だか、三国先輩は持ってきていたようで、理由を聞いたら昨日まで晴れだった天気予報が朝に雨に変わったらしい。

「南沢さん、傘持ってます?」

「持ってねえよ、てめぇは?」

「持ってないっす」

「使えねぇ」

倉間とそんな会話をしていると横から神童が横に来て、あの…、と話しかけてきた。

「よかったら、使ってください」

そう言った神童の手には一本の傘。

「俺、霧野と帰るので、二人で入れば一本余るので」

ちらっと霧野を見るとあいつの手にも傘があった。なるほど、と俺は納得した。こいつら(特に神童は)周囲に隠しているつもりだが、こいつらが付き合っていることをサッカー部の大半が知っている。しかも、こいつらは俺らが恥ずかしくなるほどいちゃいちゃしていて、正真正銘のバカップルだ。今俺に傘を貸す理由の一つは、単にこいつらが相合い傘をして帰りたいからだろう。そういう事なら遠慮なく借りようと思って俺は神童から傘を受け取った。


「南沢さんは俺と相合い傘してくれないんすか?」

「しねえよ、ばか」

相合い傘で帰る霧野と神童を見送ってから、俺は帰路に就いた。隣にはびしょ濡れになった倉間がいる。

「風邪引いたらどうするんっすか」

「馬鹿は風邪引かねえよ」

「馬鹿じゃないんで。風邪引いたら看病してほしいっす」

「ふざけんな」

「酷いなー…っくしゅっ」

倉間が嚔をした。流石に寒いらしい。一瞬傘に入れてやろうか、と思ったけど相合い傘なんて死んでもやりたくない。(やったら恥ずかしくて死ぬ)

「倉間」

「なんっすか?」

「手出せ」

「なんで?」

倉間が不思議そうに右手を出して来たので、その手に無理やり傘の柄を持たせた。勿論、俺は傘から出る。雨は思ったよりも冷たかった。

「南沢さん、風邪引くっすよ」

「引かねぇよ」

「傘、一緒に入らないんすか」

「誰がてめぇと相合い傘なんてするか」

「意地っ張り」

倉間が傘を左手に持ちかえて、右手で俺を引っ張った。

「うわっ」

急に手を引かれて、俺は強制的に傘に入れられた。

「手、冷えてるっすよ」

倉間の顔がいつもより近いとか、狭い傘のせいか肩が触れてるとか、繋いだままの手とか、いつもと違うすべての事にドキドキして仕方ない。

「顔真っ赤っすよ」

「気のせいだろ」

「本当っすよ。写メに撮りたいくらい可愛い」

「ばか」

「あと、濡れててエロいんで襲っていいっすか?」

口調(と理由)はふざけてるのに、目だけは真面目で。俺はこいつのこの顔に弱いらしい。

「俺ん家、着いたらな」

結局俺たちは、俺の家まで相合い傘で帰った。そのあとやったことは、…ご想像におまかせする。




相合い傘ネタ。南沢さんがなんか乙女。蘭拓はバカップルだと思う。

2011/06/12











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