天→(←)拓前提、拓+三


悩み相談


「神童!」

部活の練習中、倉間の放ったシュートがゴールポストに当たって跳ね返って神童の方へ飛んでいった。心ここに在らずといった感じだった神童の顔に直撃し、その衝撃で神童は倒れた。

「神童!」

「キャプテン!」

倒れた神童の回りに人が集まって心配そうな顔をしている。中でも松風の表情は青褪めていた。

「皆、練習を続けろ。神童は俺が保健室に連れていく」

そういって俺は神童を抱き上げた。思った通り、神童は軽かった。


「ん…」

「起きたか、神童」

「三国、さん…?」

保健室に運んで十数分で神童が目覚めた。

「俺、ボールが当たって、それから…」

「少しだけ気を失っていたみたいだな」

「すみません、迷惑かけて」

「大丈夫さ。それより、何か悩みでもあるのか?随分ぼーっとしていたみたいたが」

「…そ、それは」

神童は少し話しにくそううな顔をして、それから真剣な顔になって、実は、と切り出した。

「松風に、…告白、されたんです」

「こ、告白!?」

俺の声は驚いて裏返っていた。俺は男同士の恋愛に特に偏見はないが、部活の後輩が後輩に告白するとは思っていなかった。

「俺、どうすれば良いのかわからないんです」

「どうすれば良いのかって、お前が松風をどう思っているかによるんじゃないのか」

「わからないんです。松風はただの後輩だと思っていましたから。だけど最近、頭のなかが松風の事で一杯で、なのに松風の近くにいるとなぜか緊張して…」

わからないも何もそれは確実に松風の事が好きなんじゃないか、と言ってやりたくなるほどに神童は自分の気持ちに鈍かった。

「神童、恋してる時ってどんなだと思う?」

「えっと、…その人の事で頭が一杯になったり、その人が近くにいるだけでドキドキしたりするとかですか?」

「そうだな。なら、今のお前はどうなんだ?」

「え…?」

神童は少しだけ考えて、その後ハッとした表情になった。やっと気がついたらしい。ちょうどその時、保健室の扉を開く音がした。

「キャプテン、大丈夫ですか?」

入ってきたのは松風で、心配そうな顔をして神童に駆け寄る。

「あ、あぁ」

神童は顔を真っ赤にして答えた。

「松風、神童を頼む」

「え、あ、はい!」

邪魔者は退散することにした。俺は保健室から出ながら、二人の後輩の恋が上手くいくように、と願った。




お兄さんな三国さんが書きたかった。三国さんは本当に素敵だ。

2011/06/05











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