倉南
校舎裏にて
「私…、南沢先輩が好きです」
昼休み、倉間は南沢を探しに彼がよくいる校舎裏に来たところ、一人の女子生徒が南沢に告白していた。倉間と同じクラスの女子で、結構男子には人気の高い清楚系の女子だ。
「あ、あの、お返事待ってます。し、失礼します」
顔を真っ赤にして女子が走って行く。南沢はそれをただ見ていた。
「ひゅー、モテるんすね」
倉間がからかいながら姿を表すと、南沢は告白されている現場を見られていた事に少し驚いた表情をした。
「覗いてたのかよ、趣味悪」
「たまたまっすよ」
「ばーか、たまたまでも覗きは覗きだろ。詫びに飲み物奢れ」
「後輩に集るなんて、大人気ない」
そんな悪態をつきながらも、倉間は近くにある自動販売機まで走って飲み物を買ってきた。
「どーぞ」
買ってきたコーラを差し出す。
「サンキュ」
南沢はそれを受け取って缶の蓋を開けた。ごくごくと、コーラを飲む姿はどこか色っぽい。
「南沢さん、一口」
倉間がそう言って、南沢が飲んでいたコーラを受け取って一口飲む。
「さっきの奴、お前と同じクラスだろ。放課後、ここに来いって言っとけ」
「断るんすか?」
「当たり前だろ、…一応お前がいるし」
倉間から目を反らして、後半はぼそぼそと独り言のように呟いた。
「一応って、酷いっすよ。れっきとした恋人なのに」
「口答えすんな、一応でも認めてやってるんだ」
そんなやり取りをしているうちに、昼休みも残り少なくなる。じゃあな、と帰ろうとした南沢の手を倉間が掴んだ。
「何だよ」
少しめんどくさそうに振り向いた南沢の唇に、倉間は触れるだけのキスをした。
「お、お前…」
少し頬を紅潮させた南沢に、倉間はいたずらっ子のような顔をした。
「浮気するなよ、篤志さん」
口調をひたすら模索中。ナチュラルに間接キスな二人。けどれ普通のキスは恥ずかしがる南沢。少し嫉妬する倉間。そんな話が書きたかった。
2011/06/04
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