蘭拓
HappyTime
部活が終わった後、ユニフォームのまま教室に忘れ物を取りに行った。もしかしたら、神童が待っているかもしれないと思うと、自然と全速力になった。そして、サッカー棟の更衣室に戻って来た俺を、神童は今にも眠りそうな表情で迎えてくれた。
「神童、待っててくれたんだ」
「あぁ」
「眠たかったなら、先帰っててもよかったのに」
俺が鞄から制服を出しながら言うと、神童は少し恥ずかしそうに、
「お前と帰りたかったから、待ってた」
と、言った。可愛すぎる、と思ったら無意識に神童を抱きしめていた。
「霧野?」
神童が真っ赤になって驚いている。
「お前が可愛すぎるから、抱きしめたくなった」
さっきの眠そうな顔も、今の真っ赤な顔も、言うこともすべてが可愛くて仕方ない。
「俺、お前のことが好き過ぎるかも」
俺がそう言うと、神童は真顔で、
「俺だって、お前が好き過ぎるくらい好きだ」
と、言った。あぁ、なんでこいつはこんなに可愛いんだろ。
「神童、キスして良い?」
「ばか、学校だぞ」
「大丈夫、皆帰ってるよ」
そう言って、返答もろくに聞かずに神童の唇に自分の唇を重ねた。嫌なら逃げれるのに、そうしないということは、神童もまんざらでもないらしい。
あぁ、幸せな時間とはまさに今なんだな、なんて実感した。
甘々な話が書きたかった。バカップルな二人は可愛い。
2011/06/03
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