倉間と南沢
2011/11/10 23:59
久しぶりに南沢さんと会う約束をしていた。南沢さんが月山に転校してからは昔のように毎日会うことができない。だからこそたまに会う日が楽しみで仕方ない。
「南沢さん」
待ち合わせ場所の駅に向かうと、ベンチに座った南沢が単語帳を開いて待っていた。
「遅い」
「すいません」
後でなんか奢りな、と言って立ち上がった南沢さんの隣に並んで、目的地に向かった。
スポーツショップで買い物したり、ファーストフードで他愛のない話をして、帰りに公園による。南沢さんが誰かが忘れたサッカーボールを見つけて、リフティングを始めた。
「あ、倉間」
「なんっすか」
「俺からボール奪ってみろよ」
そう言った南沢さんは鞄をベンチに置いて、ドリブルを始めた。俺もすぐに荷持を置いて追いかける。
「こっちだよ」
「くそっ」
「甘いな」
「っ!!」
「なっ」
大分苦戦したが、なんとか南沢さんからボールを奪って勝ち誇った顔をしてみたら、南沢が「うまくなったな」と呟いた。
「サッカー楽しいな」
「え、はい」
唐突に南沢が呟いた。ああそういえば南沢さんはもうサッカー部を引退したんだっけ。
「高校でやりましょうよ」
「は?」
「サッカーですよ。俺南沢さんと同じ高校行くんで」
「お前、俺と同じとこ来れるのかよ」
相当勉強しないとな、と笑われる。
「でも、待ってるからな」
「はい、待っててください」
また一緒にサッカーしましょう
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