政務官の生態(ジャ+ヤム) | ナノ
ヤムさん視点、微妙にシンジャ風味?微妙に。
ジャ+ヤムだけど、ヤムライハが乙女過ぎてジャヤム風味っぽい。
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そもそも、半獣ってのは、大体の人間が、何らかの形で何かの動物の素質を受け継ぐらしいんだけど、あまり詳しいことはわかってないみたい。
受け継ぐ動物は基本的にランダム。兄弟だろうが、家族だろうがバラバラ。ただし、伝説のファナリスとか、マギ様とかは例外かしら。
まあ、いろいろ調べてはみたけれど、結局よくわからず仕舞い。はっきりしている事としたら、普段は人間の姿形をしているのだけれど、意識したり、感情が乱れたりしたら、一部、または全身をその動物に変えられる。って位かしら。私もそうね。私の場合、陸じゃ面倒だから、あまり姿を変えたくないけれど。
さて、今日観察するのは、ジャーファルさん。彼は蛇との半獣。普段の性格は温厚で、仕事には厳しいけれど、すごく優しくて、強い人。
獣の方は蛇ですって言われたって、普通の人なら気づかないわ。だって、本来の蛇の性格とはかけ離れているから。
だけど、怒らせちゃ、ダメよ。めっちゃくちゃ、恐い。何度か見たことあるし、怒らせたことあるけど、もう二度とあんな目に睨まれたくないって、誓ったわね。何度も怒られている王様が、ある意味凄いって思う。
毒蛇だから、何度か予備の血清貰いにきたりもしたかしら。最近はあまりないみたいだけど、一体、誰を咬んだのやら…。

「おや、ヤムライハ、どうかしましたか?」
「ジャーファルさん!?」
振り向いたらそこには、今、考えていた当の本人。
なんて、返そうかしら。
どうしたって言われたって、貴方の事を考えていましたなんて、まるで恋する乙女みたいじゃない。そんな事言えないわ。
違うのよ、ただ、ジャーファルさんについて考えていただけであって、決してそんなやましい気持ちがあるとか、そんなわけじゃないの!!
慌てふためく私を見て、ジャーファルさんは何を思ったのか、ひやりと少し冷たい手を、私の額に当て、顔を覗きこんできた。
黒曜石みたいな、夜色の瞳が、じっと私を見つめる。
……一瞬で、顔が発火した自信があった。

「ヤムライハ?熱は……、なさそうですけど、具合でも悪いんですか?」
「な、なな、何でもないです!!失礼致します!!!」

そこだけ熱魔法がかかったように熱い頬を押さえ、急いでその場を離れる。絶対変に思われたわ、後でどう言えばいいかしら。
そう思いながら走り去る途中で、したり顏のピスティとすれ違った。
あの子、何も気付いてないわよ、ね……?
そう願った瞬間。小鳥のような甘える声が、耳に入った。

「だめですよー、ジャーファルさん。ヤムは男に免疫ないんですから、あんなことしたら、熱もないのに熱くなっちゃいますよー」

鈴が転がるような、耳触りのよい甘い声が、悪魔みたいに笑う。
恥ずかしい、恥ずかしい!熱魔法全身に浴びたみたい!かけられたことないけど!

……しばらくジャーファルさんの顔が見れないじゃないのよ!


(ジャーファルさんって案外たらしですよねー)
(何言ってんですか。君は男をたらしこむくせに)
(もう、無自覚!)


政務官の生態
(誘い込む毒蛇)

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13.6.25
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