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つぶやき時々シンジャ語り


2014/05/11 14:15
「それが貴様の隠し子か」
「だから違ぇっつってんだろうが、殺すぞ。」
腕の中のガキを見るなりヴェルデが確信を持ったように言い放った。俺に会うたび悪態をつきやがるいけ好かねえ科学者だ。
「沢田から聞いている。先日の抗争の生き残りだろう。ほら、頼まれていたものだ。」
くっと顎で指し示された方向には、山積みの紙袋。おむつに衣服、おもちゃ、ミルクなどなど・・・子育てに必要なものが揃っている。
「で、あいつはいつまで俺に子育てをさせるつもりなんだ・・・。」
ざっと見たところ、一ヶ月分くらいはありそうだ。

この赤ん坊が俺にしがみついて離れないことを理由に、ツナに押し付けられた子守り。俺はかてきょーであってベビーシッターじゃねえっつーのに。・・・まあ、ビアンキやイーピンに任せないのはほかに理由があった。

「ほら、これを首にかけてやれ。」
「・・・おしゃぶり?」
それはよく見慣れた形の・・・青色のおしゃぶりだった。
「赤ん坊の力を抑えるためのものだ。雨の炎を入れてある。吸うことでももちろんだが、身につけているだけでも効果はある。」
あのひどい抗争の中この子供だけ生き残ることができたのは、小さな体に眠る霧の炎のおかげだった。自分自身の周りの空間を歪ませる程のもので、骸がいたおかげで見つけることができたもののそれだけの力を使った体は衰弱しきっており、とりあえず本部へ連れて帰ったのだった。

ーーーーーーー

「ったく、世界最強のヒットマンであるこの俺が、ガキの子守りとはな・・・。」
人の気も知らず眠るガキの頬を軽くつつく。それにしてもコイツはどうしてこんなにも俺に執着するのか。しっかりと握られたスーツは離してくれそうにない。起きてきたら面倒だ。シャワーを浴びるためジャケットごと赤ん坊をベッドに下ろす。
「い゛っ・・・!!」
しかしそう都合良くはいかなかった。いつの間に目を覚ましたのか、ガキは思いっきり俺の髪をつかみやがった(しかももみあげを!)

「おい、離せ。シャワー浴びてえんだよ。すぐ戻ってきてやるから」
そうなだめすかしても小さく握られた手は開かない。頭を固定されているためガキに覆いかぶさるような体制になっているのだが、相手が小さいため思いのほかキツイ。
・・・これが美人な女ならいうことはねえんだがな。
かといってガキとシャワーを浴びるのはまっぴらゴメンだ。どこかにいい世話係はいねえのか・・・、と、そこにタイミングよく扉が開いた。この部屋にノックなしに入ってくるようなやつは、一人しか思い当たらない。
「バイパー、いいところに・・・」
「・・・信っじらんない、赤ん坊にまで手を出すなんて・・・、そこまで見境がないとは思わなかった!!」
中を確認して一瞬固まったバイパーは、そう叫ぶと大きな音を立ててドアを閉めた。
「はあ!?ちょっとま・・・いってえ!いい加減離せ!!」
「っ・・・ぐすっ、・・・ぅぁぁああああん!」

ガキをおしつけられ、ヴェルデに悪態をつかれ、バイパーに妙な勘違いをされ・・・コイツが来てからロクなことがねえ。
「カオス・・・だな。」
力ない息とともに吐き出した言葉は、大きな泣き声にかき消された。

chaos chaos chaos!!
(・・・とりあえず髪を離してくれ)




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