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シーンっと部屋の中が静かになる
クラピカさんは以前、赤い目で私を見ている
「…なんで?」
ゴンが私に向かって言う
「なんで、そんな簡単に殺すって言えるの?」
単純な疑問
普通に生きている人間が必ずしもぶつかってしまう愚問
「……なんでって、言われましてもね」
簡単に言える
簡単に行動できる
なんでそんな事を出来るのか、まともに生きてきた人間には理解できない事
「ゴン、その言葉はまともに生きてきたから言える言葉ですよ」
リュックを下ろし、中からナイフを取り出す
「たとえばキルア君は暗殺者一家に生まれました、だから暗殺者の道を進みました
たとえばクラピカさんは一族を皆殺しにされました、だから復讐の道を進みました
たとえばレオリオさんは幼い時に病気で友を亡くしました、だから医者の道を進みました
たとえばゴンはお父さんがハンターでした、だからハンターの道を進みました
たとえば私は地獄で生まれました、だから私は地獄の道を進みました」
クルクルとジャグリングの容量でナイフを回す
「生まれもって育った環境によって人は進む道も、性格も、思想も決められます、その人が幼ければ幼いほど」
銀色のナイフに私のピンクの目とクラピカさんの赤い目が移る
「私が初めて人を殺したのは5歳の時です」
ピタっと、ナイフを回すのをやめる
「旅団のメンバーの中にはそれより前から人を殺した事がある人もいますし、私より人を殺している人がいます」
ヒュッと、ナイフを壁に投げる
「最初の質問に戻りましょうか、なんで簡単に人を殺すって言えるのか………それは私が人殺しだからですよ」
銀色のナイフに、ゴンの悲しそうな顔が映った
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