第四話

あの子って誰ですか?



××


外の景色がだんだんと真っ白な雪景色へと変わっていく

今、イナズマキャラバンは北海道にいるという伝説のエースストライカーだっけ?そいつの元へ向かっている

ちなみに、今私が座っている座席は円堂の隣じゃなくてのせの隣

はるなんはとうこんの隣、秋っちはなつみんの隣、そして私がのせの隣となるべく固まって過ごしている

しばらく雪景色が続いて、外の景色も見飽きてきた頃、突然キャラバンが止まった




「人だ」



古株さんがそういうと我等がキャプテン円堂が外へと飛び出て、白い髪をした子供をキャラバンに乗せてきた

いや、子供って言っても私達と同じくらいだろうか?そこら辺は私に観察眼がないのでわからな、い




「…亜紀?眠いのか?」



隣に座っていたのせがそう声をかけてきた

確かに、頭もボーっとしていて、まぶたが重たい

あ、そういえば薬飲んだんだっけ



「ん、ちょっとな…薬の副作用だと思う」



「……そう、だったら寝てなよ、着いたら起こすから」



「おう、お願いな」



のせにそうお願いして私は眠りについた

あぁ、そういえばさっき乗った子供、名前なんていうんだろう

どっかで見た事あるけど、思い出せない

なんだか、考えるのも、だん、だん、つか…




××



「亜紀、亜紀、起きてっ!!」



とせの声が聞こえてくる

まだ少し眠たかったが、重たいまぶたをなんとか開いて起きる

周りが雪景色のせいだろうか?光が少し強くて起きたばかりの目には少し辛かった

…ん、あれ?ここどこだろ



「おはよ、のせ…ここどこだ?」



「どこって、白恋中に着いたんだよ」



…あぁ、思い出した

そうだった、エースストライカーの所に行くんだっけ

まわりを見ると誰も座席に座っていなかった、

どうやら皆先に行ったみたいだ



「ほら、秋達も待ってるし行こう」



「おう、」



外へ出ると一段と寒かった

さすがは北海道、やはりジャージだけではまだ寒い

手とか首元はマフラーや手袋を着けていないのでまた一段と冷たく、寒さのせいで痛かった



××


校舎の中に入るとまだ暖かった、

どうやらストーブを焚いてるらしい

まぁ、外は雪が降っていて寒いのだから当たり前だろう

教室に入ると少しみんなの目線が痛い

でも、そんな目線を私は気にせずはるなん達の所へと行った



「おはよー、はるなん…エースストライカーって奴はまだ来てないのか?」


「あ、はい…今白恋の方達が呼びに行ってるみたいです」



どうやらエースストライカーさんがこっちに来る前に来れたようだ

よかったよかった、

にしてもさっきから皆の目線が痛い

別にはるなん達と喋るくらいいいじゃないか




「あれ・・・君たち」




声が聞こえた扉の方へと振り向くと、さっきイナズマキャラバンに乗せてた子供がいた

どうやら、彼があのエースストライカーらしい

…言っちゃ悪いけどなんかしゅーちゃんみたいな凄さとかそういうのがまったく無い子だな、

しゅーちゃんが剛ならこっちは柔って感じかな?

そんな事を考えているとそっきゅんが教室を飛び出して、後ろから玲ちゃんが追いかけていった


…にしても、あの子見た事あるんだよな

でも、思い出そうとすると頭に霞がかかって、痛くなる

思い出そうとして、頭痛に顔が歪んでいるのに気がついたのか、のせが声をかけたきた



「…大丈夫か?」



「大丈夫、ちょっと頭痛が」



「…薬は?持ってないのか、」



「大丈夫だよ、すぐ治まる」



大丈夫、そう念じていると頭痛はだんだんと治まっていった

のせには言ってないが頭痛はこれが初めてではない

実はずっと前から、頭痛はあった

でも、医者に言っても薬を渡されるだけだったし、特には問題ないだろう

そんな事を考えていると、どうやら外に出て遊ぶ事になったのか、皆して外へと出て行った

…あの子についてはもういいか

思い出せないし、きっと街中とかで見かけた程度なのだろう、

自分にそう言い聞かせ、皆に続いて外へと出て行った



××


ドシャッ、

雪が落ちる音がした

どうやら屋根から雪が落ちたみたいだ



「な、雪崩?」



誰が言ったのかはわからない、

でも誰かがそういうと突然、吹雪士郎だっけ?その子が縮こまって座ってしまった

…雪崩?どっかで見た事がある

あれ、なんで見た事があるんだ、

あの町にそうそう雪なんて降らないし、スキー場とかにだって行った事が無い

なら、なんで見覚えがあるんだろう

…駄目だ、思い出せない

頭がすごい痛い



「っ、イタッ」



「風丸先輩?」



私が小さく呟いた言葉がどうやらはるなんに聞こえた様だ

おかしいな、なんでだろ、北海道に来てから頭痛が多い

環境が変わったせいか?



「大丈夫ですか?薬でも持ってきて」



「大丈夫だ、少しすれば治まるから」



はるなんにそういってベンチに座る

あーもうやだ、

私将来大人になったら絶対北海道行かない

こんなに頭痛がするなんて、なんか折角の北海道なのに、最悪…



××



その後、しーちゃん(ネーミングセンスは問うな)の実力を測るため、試合が始まった




「監督、作戦は?」


「好きにしていいわよ。吹雪君の実力を見るだけだから」


「わかりました!」



正直、やっぱり視線が痛い

頭痛もさっきからあって、なんかすっごい嫌な感じ

のせはまだどもどもとかが居て、まだ喋れる相手がいるからいいな

あー、もうネガティブになるな自分

がんばらないと…


ピーーーッ


試合のホイッスルが鳴り響く

そんな中、一番驚いたことはしーちゃんがFWではなくDFに居た事だ

…いや、別に違和感は無い

だって、しーちゃんって元から、元から、


元から、なんだ?



「っ、あぁ、もういいや」



考える事はやめやめ、頭の痛さなんか気にするな

はるなん達にこれ以上心配事を増やさせるわけにはいかないんだから


しーちゃんが北見君だっけ?その子にだしたパスをカットし、そっきゅんにパスする

パスした時嫌な顔をされたけど、気にしない

そう、気にしちゃ駄目だ


そっきゅんがドラゴンクラッシュを出して、そのままゴールするかと思ったらしーちゃんがくるりと回って止めてしまった



「そうか、吹雪はFWじゃなくてすごいDFだったんだ!!」



円堂がそう叫ぶ、

FW、DF、なんでこんなにも頭が痛いんだ?



××



結局、私の頭の痛みは治まらず、試合は終わってしまった

試合中、しーちゃんの感じが変わった気がしたけど、皆気にしてないみたいだし、気のせいだったのだろうか?



「た、大変だよみんなっ、これを見て!!」



れいちゃんがパソコンを持ってきて、みんなに何かを見せる

あ、れいちゃんパソコン持ってたんだ

パソコンの映っていたのは宇宙人のレーゼ

次はこの白恋中に来るらしい




…あ、もう駄目

頭いた、

私の意識はそこで途切れてしまった





雪国


(思い出せない)

(いったい私は、)

(何を忘れているんだ?)

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