第十三輪

君への思いを語ろう

××
アツヤside

太陽がギラギラと輝いて俺達を照りつける

今日もまた学校が終わり、その後はクラブの皆とサッカーの練習

これが俺の、平穏な日常

アイツのお陰で手に入った日常だ

思えば昔からアイツには助けられてばかりだった

幼少期の雪崩の事もそうだが、俺がこうやってイタリアに行く事ができたのもアイツのお陰、あの事件があっても普通に過ごせるのもアイツのお陰

なんだか将来アイツとまた会った時これまでの事を清算されろと言われたら恐ろしい事になりそうだな………

でも、今思うと本当に不思議な奴だよな

というより変な奴か?

俺としてはアイツはマジで変だと思う、ちなみにこの変には変態の変も入っている

だってアイツは100%自分の得にならない、他人……いや、友達の為に動ける人間だ

それは普通にやろうとして中々できる物なんかじゃない

だから昔聞いたことがあったんだ

なんでそこまで友達の為に動けるのか?って

そしたらアイツはキョトンとした顔をした後、笑って


「?、友達だから!!」


って言ったんだ

その時俺は背筋に冷たい物が走るのを感じたな

あぁ、俺は、俺達は何かとんでもない事をコイツにさせてるんじゃないかって………

××

………暗い、暗い夜道に私は立っている

ずーっと長い道が続いていて、終わりがまったく見えない

私はその道をてくてくと意味もなく歩き続ける

ふと、後ろはどうなっていたっけ?って振り返ると、たくさんのキラキラした欠片の様な物が落ちている

私はその内の一個、綺麗な青の欠片を拾った

意味もなく翳して欠片を眺めていると、ふと、頬に何かが伝い落ちるのを感じる

ゆっくり、ゆっくりとその液体を拭っていくとそれは涙だった

あぁ、そうか、そうか

私は、ずっと―――


夢はいつもそこで終わる


××


「…で、一体何があったの?」


目の前には明らかに怒ってる様子のマックス

後ろにもやはり起こってる様子の半ちゃん

所謂前門の鬼、後門の虎という奴だ

いや、むしろ前門の猫、後門の中途半端だろうか

ハハ、オワタ


「えーっと、いや、その、うん」


「……ハァ、風丸」


歯切れの悪い私を見て、マックスは少しだけ呆れかえる

いや、だって、うん……言える訳が無い

はるなんに嫉妬しただなんて

そんなこと言えるわけ、無いじゃないか

地面を見つめ、何も言わない私にマックスは更に苛立ちを募らせていった


「………風丸」


そんな時、半ちゃんが突然後ろから抱き付いてきた

瞬間、ぞわりとした感覚が背中に走る

突然の出来事だったからか私は反射的に半ちゃんを突き飛ばしてしまった


「っあ、半、ちゃ」


「いってぇー……なんてな、お前、やっぱりなんかあったんだろ」


立ち上がって、どこまでも真っ直ぐな瞳が私を貫く


「前までのお前だったらこの程度で動揺なんてすることなかった………いったい、何があったんだよ」


息が詰まる

緊張して唾液がいつもより多く分泌されて、口の中がカラカラ乾いていく

何が、って

そんなの何も無いよ

そうだよ、何も無かったよ

何も、無かったはずなのに


「べ、つに……何も、無かったよ?」


あぁ、私は今うまく笑えているだろうか?

なんだか酷く歪な笑顔になってしまっている気がする


「………大丈夫、大丈夫だから」


まるで自分に言い聞かせるかのように繰り返す


「半ちゃん達には、何も迷惑なんかかけないから」


それが、答えだと思っていた

それが正しいことだと思っていた

だって、それ以外知らないから

それ以外の生き方なんて、してこなかったから


「っ、なんだよ迷惑って」


私の発言が気に入らなかったのか、半ちゃんが怒鳴る


「俺達が何時迷惑って言ったんだよ、言ってないし……言うわけないだろ!!」


怒鳴って、私の肩を掴んで、揺さぶる


「だったら俺達にいっぱい迷惑かければいいじゃんかよ!」


友達なんだからよ!!―――


ぽろぽろと半ちゃんの頬に涙が伝っている

それは、皮肉にも私が何時も言っている言葉だった

友達なんだから、助けるのは当たり前だと


あぁ、そうだ

ずっと、なんで半ちゃんに惹かれたのか…不思議だった

似てるんだね

ずっとずっと前から見ていた、夢にでてきた

あの青い瞳の少年に




ジニア


(別れた友への思い)

(そうだね、君もそう言ってくれたね)

(間違っていたのは―――私だ)

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