第??話
ピーーガガガッ
××
…なんだお前、なんでこんな所に居るんだ?
………そうか、お前も消えちまったのか
俺か?俺はちょっとな、なんていうか…生まれる前に、存在を消されちまったんだ
本当なら生まれてくる筈だった、あそこでサッカーをしている筈だったんだ
でも、いつの間にか消えていた…本当、なんでだろうな
まぁ、ゆっくりしていけよ、ここはツマンナイ所だぜ…時間だけはたっぷりとあるけどな
そうだ、お前の話を聞かせてくれよ、お前はなんでここに居るんだ?
…そうか、交通事故に…しかもその事故が消されてしまったんだな
なんか似たもの同士だな、存在を消された俺と、死んだ原因を消されたお前
ここは何にも無くてつまらない、右も左も上も下もない
真っ暗だろ?ここでやれる事なんてほとんど無いんだ
…え?じゃぁなんで色んなことを知っているのかって?
……記憶が流れてくるんだ、たくさんの悲しい記憶が
俺は所謂ゴミ箱なんだよ、アイツが消してしまいたい物があったとき、押し付ける為の
なぁ、お前ももう少し…つっても何百年も先だけどさ、転生できたらアイツの事…頼めるか?
あいつはどうしようもなく馬鹿でアホで鈍感で…俺の居場所を奪った最低な奴だけど……それでも『俺』なんだよ
だから、もしアイツに何か悲しい事があったのなら、助けてくれるか?
アイツは本当は誰よりも弱い、小説の中のような主人公でもないし、ヒーローでもない、ただの夢見がちな馬鹿なんだよ
だからアイツに会ったら現実を教えてやってくれ
アイツに全てを教えてやってくれ
この世界がどれだけ優しい世界なのかを
それじゃぁ、そろそろ行くか
あんまり同じ場所に居てもつまんないだろ?どこに行っても同じ様な景色ばっかだけどさ…
あ、でも確かあっちにサッカーボールはあったんだぜ、不思議だろ?なんでこんなのはあるんだよって感じだよな
サッカーできるだろ?一緒にサッカーやろうぜ…1人だとつまんないからさ
ほら、俺の手を掴んで、一緒に行こう
第一章
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