第十六話

いたいよ、ねぇ、いたいよ


××

夜、私は1人ナニワ修練場を探索していた

うん、やっぱ凄いなここの設備は

なんていうか、人間の限界にチャレンジしてる感じだよね

外の自販機で買った缶コーヒー(砂糖たっぷり)を開けて、歩く

…やっぱ砂糖たっぷりのやつでもコーヒーって苦いな、なんで大人たちはこれが飲めるんだろう………

少し後悔しながら修練場を歩いていると、どこかの部屋から練習している音が聞こえてきた

?、誰だ、こんな夜中に練習してる奴は

ま、私も夜中に出歩いている時点でアレだけど

音のする方向へと歩いて行くと、そこはシュート練習をする部屋だった

ひょい、部屋の中を覗いてみるとそこには1人でシュート練習をしているしーちゃんがいた

…こんな夜中までシュート練習だなんて真面目だな

そう思いながら、そろそろ寝るかと思い、もう一度しーちゃんを見たときだった


キンッ、頭の中で金属音が響く

あれ?しーちゃんってあんな目してたっけ?

しーちゃんってあんな雰囲気だったけ?

あれれ?だって、それじゃぁ、違うよ、だって、あれは



「あーちゃん?」



ポツリと、口から言葉が零れた

あーちゃん?だれそれ、だってあいつはしーちゃんでしょ?

俺のつぶやいた言葉にしーちゃんが反応する


「…お前、いま」


あはは、ダメじゃんしーちゃん、その言葉遣いだとますますあーちゃん…あれ?あーちゃんって誰?

私はあーちゃんを知ってる?

頭の中がグルグル回る

頭の中で色んな映像が流れる

雪山で、私は誰かと遊んでいた

雪崩がおきて、私は誰かを必死に助けようとしていた?

…誰を?あーちゃんって誰?知らない、私は知らない

嫌だ嫌だ嫌だ、………怖いよ


「お、おい、大丈夫かよ」


その場に蹲ってしまった私を心配してしーちゃん(あーちゃん)が私に手を差し伸べる

手を、手を、手を、私に手を差し伸べて

瞬間、頭の中にある光景が浮かぶ

あの時、確かあの人は私に―――


「―――――――っっっ!!」


私は声にならない叫びを出しながら、手を差し伸べてきたしーちゃんを思いっきり押した

いきなり押されたしーちゃんはポールに背中を打ち付ける

知らない、知らない、あーちゃんなんて知らない

だってこいつはしーちゃんで、あーちゃんじゃない

頭がキンキンする、痛い痛い、あーちゃんって誰?

痛い、気持ち悪い、グルグルする

誰か、助k「何やってんだよ!!」


円堂の怒鳴り声が聞こえる

円堂?


「お前、吹雪に何してんだよ」


しーちゃん?そういえばしーちゃんどうなった?

しーちゃんのほうへとゆっくり目を向けると、ポールに頭をぶつけたのか、顔が歪んでいる

あれ?なんでポールに頭ぶつけてるの?


「なんで、吹雪を押したんだよ!!怪我してたらどうするんだ!!」


しーちゃんを?私が?

そんな事するはず無いじゃん、だってしーちゃんは友達で、あーちゃんの大切な…ズキッ、頭が痛い、あーちゃんってだれ?


「玲姫に手を出した時は、見てないから、まだ信じられたのに」


円堂、私の事、信じてくれてたんだ…

ダメだよ、そんな事皆に言っちゃ、円堂まで敵視されちゃうよ


「なんでだよっ!!お前の事…信じてたのに」


円堂が悲痛な声で叫ぶ

あぁ、円堂が泣いちゃう、ダメだよ、円堂は笑ってなきゃ


「っ、二度と、俺に話しかけるな」


そう言って、しーちゃんを連れてどこかに言ってしまう

…あーあ、円堂、怒らせちゃった

馬鹿だな、私

本当………馬鹿だよ


「ふぇ、あ、ぁぁぁ」


ポロポロと、目から雫が零れ落ちて頬を伝う

グルグルと脳みそをかき回されて、頭がキンキン痛い

痛い、痛いよ、円堂


「あぁ、ああ、ふあぁ、あぁぁぁぁぁぁ!!」


涙が拭っても拭っても零れ落ちてくる

円堂、違うの、違うの、わざとなんかじゃなかったの

怖かったの、だってしーちゃんはあーちゃんじゃないもん

あーちゃんってだれ?だれなの?しーちゃんじゃない?

怖い、怖いよ

誰か、あーちゃんが誰なのか教えてよ






傷心


(もう、涙を流すのはこれで終わりにしよう)


(また一歩、前に進まないと)


(痛くて痛くて仕方ないけど)

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