第十五話
好き好き大好き
××
リカside
正直言って、うちは今までに色んな奴に恋してきた
全部全部積極的にアタックして、で、最後は玉砕
それの無限ループやった
やから別にこれは初恋でもなんでもない、もう何度目かわからへん恋やった
こないなにも色んな奴に恋するうちはおかしいんやないかとも思ったが、好きになってしもたのやからしょうがない
恋に理屈なんてへん、ただ好きになってしもた
そこに理由を付けるだなんてうちはナンセンスだと思う
恋をしてしもうたら後はただ相手をひたすら愛する
恋ってものは素敵だって思う、だってこんなにも誰かを愛する事ができるのやから
前友達が恋と愛は違うとか言っていたけど、うちはそうは思わなかった
だって結局はどっちにも心があるんやろ?だったらそんなに大差ないやんと思った
前にクラスの男子があいつはアバズレだとかビッチとか悪口言っていたけど気にしない
だって、誰かを愛する事がそんなにわるいことなんか?
もう何度目かもわからへん恋、それでもこの恋だって立派な恋だ
だからこの恋だって大事にしてみせる
最後はどうなるかなんて、わかりきってるけど
××
大阪CCCとの試合の後、私達はリカ…リッちゃんでいいかな?に案内されて地下にある浪花修練場へと来た
そこには最新の設備が多数あり、どれもこれもすごいマシーンばっかだった
…全部デコられてたけど
にしても本当にすごいな…こんだけの設備、エイリアの奴等はどうやって作ったんだろう
それに、遊園地の地下にこんな巨大な施設を作るだなんて…一体どれだけの力があるんだろう
「ほな、ダーリンはこっちでうちと練習しよ」
「えっ、ちょ、リカ!!」
そう言ってのせの腕をぐいぐい引っ張るリッちゃん、なんだか凄い積極的だな
これが恋は盲目ってやつかな
いいな、ああやって好きな人と一緒に居られるのって
少しだけ微笑ましく思いながら見てると、れいちゃんがのせ達の方へとやってきた
「あの〜、一哉君から離れたらどうですか?一哉君だってめいわくですよ〜」
「あぁ?なんやあんた」
あれ?れいちゃん何時の間にのせのこと名前呼びになったんだろう
にしても、この展開…なんだか先が読めちゃうな
「あんたには関係あらへんやろ、あっち行っときぃ」
そう言ってシッシと手を振るリッちゃん、でもれいちゃんも負け時と反論する
「でもでも〜、そんなに引っ付いていたら練習なんてできませんし〜、一哉君も迷惑だと思うんですよね〜」
「あんたアホか?引っ付きながら練習するわけないやん、これは移動中だけや」
「ぐっ、でも〜、女の子と男の子じゃ練習メニューも違いますし、一緒に行く意味ないと思いますよ?」
「ハァ〜?あんたうちを馬鹿にしとんの?こんなメニューにも着いてこれへんでキャラバンに参加したとでも思うてるんか?」
…めっちゃ怖い、なんか2人の後ろに龍と虎が見える
そして2人の間に挟まれているのせ…哀れなり
なんか目で救援信号送ってるけど…正直あの2人を止められる気がしないし
「…はるなん、一緒にあっち行こうか」
「…そうですね」
さらばのせ、君の事は忘れない←
××
???side
アイツが居なくなって、もう半年以上過ぎた
最初、アイツの居ないグラウンドはおかしな位静かで、皆沈んでいた
でも、それでもいつかアイツが笑顔で戻ってこれるよう、徐々に皆いつもの調子を取り戻し始めた
アイツは今、どうしてるんだろう
あの馬鹿は今でも笑ってるだろうか
「っ、やっぱアイツが居ねぇと、変な感じするな」
自分から外の世界に飛び出して、それでまたアイツに出会って、それでまた別れてしまった
……アイツは今、幸せになってるだろうか?
散々自分の事を顧みず、俺達を幸せにしようとしたアイツは今笑っているだろうか
俺達の所為でああなってしまったアイツは、今、誰かを愛せているだろうか?
誰かを愛する事が幸せだというならば、誰かを愛せているアイツは本当に幸せなのだろうか?
………なんだかえらく久しぶりに感傷に浸っちまったな、こんなの全然俺らしくねぇ
こんな姿をアイツが見たら絶対に笑うな
「おーい!!そろそろ練習再開するよー!!」
「おぅ!!今行くっ」
Dear 親愛なるあなたへ、またお前が笑顔で戻ってくる事を信じています
なぁ、お前は今幸せか?
「アツヤ!!、早くシュート練習しよう!!」
「わかってるよフィディオ!!」
心愛
(様々な愛の形)
(誰かを愛する事が幸せならば)
(誰かを愛せているワタシは幸せ?)
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