第十四話

楽しかったあの日々は


××


親子連れで楽しそうにはしゃいでる子供、初々しいカップル、友達同士で来てる学生達

アトラクションの音や人々の絶叫、甘い砂糖菓子の匂い、マスコットのきぐるみ

色んな音を出しながら進むパレード、可愛いオルゴールのBGM

そう、私達は遊園地に来ていた



「…こんな所に、宇宙人達が?」



監督の話によると大阪のナニワランドに宇宙人達の拠点があるらしい

でも、私達の目の前にあるのは普通の遊園地だ

どう見たって宇宙人の拠点があるとは思えない



「…とりあえず、調べてみるか」



きーちゃんがそう言うと皆各自ペアと作って調べだした

私もはるなんとペアになって探そうかと思ったが、意外にもこぐれんがはるなんとペアになった為あきらめた

こぐれんはあのメンバーの中ではるなんにイタズラをしたりはするが、悪意は見られない

なんていうんだろう、むしろ元気付けようとしてる感じ

ともかく、悪い奴ではないし大丈夫だろう

他に秋っちはなつみんと、のせはどもどもと、れいちゃんは…円堂とペアになってしまった

ペアを組める相手が他にいなかった為仕方なく1人で探索することにした

…まず、どこから探そう


××


とりあえず色んなアトラクションを見て回ったが怪しいところは見た限りなかった

というより、本当にこんな所に宇宙人の拠点があるのか?

ナニワランドは日本でも結構有名な遊園地だ

そんな遊園地に拠点を作るのは些か無用心な気がする

第一、何時拠点を作ったんだ?

周りの住民達に誰も気づかれず、何よりもここの経営者達に気づかれずに拠点を作る…

拠点を作るのに金だって掛かりそうだし……


やっぱ、宇宙人だしそこらへんは宇宙の進んだ科学でなんとかなっちゃうのかなぁ


売店でアイスを買い、ベンチに座って考える

…宇宙人かぁ、今さらかもしんねぇけど、非現実的だよなぁ

なんで宇宙人はこの地球にやってきたんだろう、暇だったからかな?

あはは、暇だから侵略とか笑えねー

アイスも食べ終わり、ゴミくずをゴミ箱に入れる

うん、行くか

そう思い後ろを振り返ると



「やぁ、また会ったね」



あの時の幽霊少年にまた出会った



××

一之瀬side

一之瀬一哉は困っていた

遊園地にて土門と一緒に探索していたのまでは良かったのだが、途中土門と離れ離れになった上に、見知らぬ少女によって何故かお好み焼き屋さんに連れてこられたのだ

まぁ、元々自分は宇宙人について手がかりを探していたのだが、少女がお好み焼きを探していると勘違いしている辺りから話は捻じれてしまったのだが

ともかく、流れ流されてお好み焼きを食べる事になってしまった

お好み焼き事態は嫌いではない、アメリカに居た頃食べた事あり、おいしかったのを覚えている

…懐かしい、今アメリカに居る友人であるマークやディランはどうしているだろうか

マークやディランは自分が日本に戻るとき真っ先に反対した友で(特にマークがこれ以上常識人が減るのは困る!!と言っていた)、長年一緒にサッカーをやってきた友でもある



「ダーリンv、どうや?うちのお好み焼きおいしいやろ?」



「あっ、うん…とってもおいしいよ」



危ない危ない、ともかく今はこの状況を抜け出さないと

彼女…リカが作るお好み焼きは確かにおいしかった

外側はカリッとしていて中はふわ、タレもピリ辛でおいしい

…彼女の作るお好み焼きは確か、甘かった気がする

彼女とは違うお好み焼きの味だけど、とてもおいしかった


そんなことを考えているとあっという間にお好み焼きが食べ終わってしまった

そろそろ土門達の所に戻らないと



「それじゃぁ、俺はそろそろ戻らないと」


「待ちぃ、あんた、うちの特製ラブラブ焼き食べたやろ」


「……へ?」


特製…ラブラブ焼き?


「それを食べたらうちの結婚相手になるって決まってんや!!」


「えぇぇっ!!」



……やはり、一之瀬一哉は困っていた


××


…なんでこんな事になってるんだ?

ただいま幽霊少年(仮)ことヒーちゃんと遊園地を回っている

いや、正直遊園地で遊ぶのは目茶苦茶楽しい

今だってヒーちゃんが幽霊…なのか?な事を忘れて楽しく観覧車に乗っている

ちなみにこの観覧車は日本で二番目に大きいらしい、この観覧車から大阪の街はとっても綺麗だ

自然と笑顔になってハイテンションになってしまう



「ふふ、やっと笑ってくれたね」


そう言ってヒーちゃんが隣に座ってくる

…あぁ、そうか、ヒーちゃんは私を笑わせるためにこんな事を



「…ありがとな、ヒーちゃん」



ヒーちゃんに向かってそう言って再び外の景色を見る

綺麗だな…そう言えば鉄塔広場で見た稲妻町の景色も綺麗だった



「…君は、あの子じゃないんだね」


「?、何か言ったか?」


「いや、なんでもないよ」



観覧車が一周し終わり、私達は外へと出る

そろそろ皆の所に戻らないと



「今日はありがとな、ヒーちゃん」


「ううん、僕もわがままに付き合わせちゃってごめんね」


ヒーちゃんと別れて皆のところへと戻る

やばいな、皆もう集まっているかも…

少しだけ走りながら、私は皆の所へと戻っていった









「…やっぱ、あの子じゃないのかな……いや、そんな筈は無いよね、ちゃんと調べたもん」


……このまま俺の事を思い出さないのなら、このまま俺を見てくれないのなら、このままあのチームに居続けるのなら



「…奪っちゃっても、いいよね?」





遊園地


(くるくるくるくる回る)


(歯車は回るよどこまでも)


(君に追いつくまで)

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