第十一話

お前に何がわかる?


××

外の景色が次々と流れていく

今は高速道路に乗って、後はこのまま稲妻町に向かうだけ…の筈だった

突然の響監督からのメールにより愛媛へ

なんでもここで影山が真帝国を設立しただとか…

影山―――FF決勝戦で神のアクアを世宇子中の選手に使った事によって今までの悪事も同時にばれ、逮捕されたはずだった

……悲しい奴、そう響監督がボソリと呟いていた。影山、奴は一体どんな力を持っているのだろうか

中学生にして、バスを細工したり、円堂のお祖父さんを貶めたり…あいつの後ろには何かが絶対に居るはず

でも、一体誰が?


××

愛媛に着いたと思ったら真帝国の不動と名乗る奴が現れて、すぐに真帝国に向かうことになった

…不動、なんかどっかで見たことがある

北海道の時と同じ、今は薬を飲んだおかげか頭痛はそこまで酷くない

気晴らしに窓の外でも見ようと思ったが、窓の外の景色は工場とか暗い物だったのですぐにやめた

これ、本当に学校に向かっているのか?さっきから工業地帯の所を走っているけど…こんな所に学校なんてあるのかな

学校…そういえばマックス達はどうしてるかな、まだ病院だっけ



寂しいなぁ



キキーーッ

キャラバンが止まる音がした

どうやら着いたみたいだけど、学校らしきものなんて1つもない

あるとしたら目の前に広がる海だった


「学校なんてどこにねぇじゃねーか!!」


そっきゅん達が騒ぎ始めた、確かに学校なんて何処にもない

騙された?でも私達を騙してコイツにどんなメリットが?


「うるせーな、真帝国学園なら、ほら」


そう言って不動が海に指を差すと、海から大きな、唸る様な音が聞こえてきた

その音はだんだんと大きくなっていき、次の瞬間、大量の水飛沫を上げながら潜水艦が姿を現した

潜水艦には帝国の旗が掲げられて、確かに、真帝国だということを表していた

なるほど、学校といってもあの鉄筋コンクリートで作られた牢獄みたいな所じゃなくて、潜水艦っていう海の中にある監獄ってわけか

潜水艦から階段がおろされる、その上には


「影山ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


脱獄した影山がいた

…影山、脱獄してこんな潜水艦に潜んで、子供を巻き込んで、一体何がしたいんだ?

復讐なんて自分ひとりで勝手にやればいいものを、周りの奴ら全員巻き込んで、そんなので満足してるつもりなのか?


……胸糞悪い



××


真帝国―――そこにはなんとさっくーとげんちゃんが居た

どうも2人はきーちゃんが帝国を裏切ったと思っているらしい

そして、真帝国との試合が始まった

不動がさっくーへとパスをし、さっくーが口笛を吹く

それを見たきーちゃんが何か言葉を発する


「止めろ佐久間っそれは、」


「皇帝ペンギン、」


「禁断の技だぁっ!!」


「1号――――っ!」



さっくーの足に赤いペンギンが噛み付く

一瞬、苦痛の表情を浮かべたが、そのままさっくーはボールを蹴る

円堂もすぐさまゴッドハンドで止めようとするが、すぐに破られて、ボールがゴールネットを揺らした

つまり、真帝国に先制点を取られてしまったのだ


「そんな、」


こんなに早く先制点を取られるなんて…

それにさっきの必殺技、円堂のゴッドハンドをいともたやすく破るなんて


「鬼道、禁断の技って…」


きーちゃんが言うには皇帝ペンギン1号は足や体中の筋肉への負担が大きすぎる為、禁断になった技らしい

そんな技をさっくーに使わせるなんて、何でそんな事



「とにかく、佐久間にあの技を使わせないようにするぞ!!」


再び試合が再開されて、さっくーにボールがいかないように注意する

きーちゃん達がうまくゴール前まで行き、皇帝ペンギン2号をだす

それをげんちゃんが不敵に笑い、


「ビーストファングッ!」


皇帝ペンギン2号をガッシリと止めてしまった

そしてさっくーの時と同じく苦痛の表情を浮かべ、体を抑えながら蹲った



「鬼道、さっきの技って」


「あぁ、禁断の技だ」



またしても禁断の技

今ので2人とも一回使ったから、もって後二回

さっくーにシュートを打たせず、げんちゃんに技を出させないようにする

っ、このままじゃ…どっちにしても負ける

さっくー達に技を使わせて私達が勝てばそれは友を切り捨てて勝つ非情な選手に

さっくー達に技を使わせず私達が負ければそれは友を救えなかった力無き選手に

どうすれば、



「雷門イレブン、苦戦しているようだな」



突然、スピーカーから影山の声がグラウンドに響く



「っ、影山ぁぁぁぁぁぁぁ!!」


影山の声に反応して鬼道が叫ぶ

その目は憎悪に染まっていた



「ふっ、鬼道、良いことを教えてやろう」



1つ間を置き、影山は話す



「その禁断の技の原型、…つまりプロトタイプを作ったのは…」



そこに居る風丸亜紀だ―――





真帝国 前


(身に覚えのない事実)

(それは本当に嘘?)

(今一度考えてみなさい)



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