02




久しぶりという会話が飛び交う居酒屋に集まったメンバー。言い出した桂に風紀委員だった土方と沖田、それからそんな三人と仲が良かった高杉に私。女が一人だけれど、そんなことは関係ないくらいみんな仲が良かった。けれど銀ちゃんは心配するだろうから集まるメンバーのことは詳しく話していない。

「さあ皆、呑みながら来月に迫り来る同窓会の打ち合わせをしようじゃないか」
「同窓会に打ち合わせとか必要なのか?」
「土方はわかってないな。料理はどうする?や予算はどうする?など決めることは山ほどあるのだぞ」
「場所はどこだったっけか?」
「場所はあれだろ、卒業祝いをやったところって招待状に書いてなかったか?」
「ああ、あそこか。料理まずかったところ」
「ありゃ土方さんがマヨネーズだらけにしたせいでさァ、だから次は来んなよ土方」
「あれはお前とチャイナ娘がぶつかってきたせいだろーが。てめえが来るんじゃねえよ」

各々が話しながら酒に料理を胃に入れていく。隣に座った土方がそういえば銀八呼んだのか?と桂に問いかけた。

「ああ、恩師であるからな。きちんと別で招待状を送っておいた」
「へえ、来るって?」
「返事は来ていないな。どうだ、なんか言っていたか?」

唯一私と銀ちゃんのことを知ってる桂が私の方を見てそんなことを言うから、みんなの視線が一斉にこちらを向く。

「あ…うん、来るって言ってたけど…」
「なんでみょうじが知ってんだよ、まだ連絡取ってんのか?」

土方が不思議そうに私を覗き込んだ。まだ連絡取ってるっていうか、付き合ってるというか。カタンと隣に座っていた高杉がグラスを音を立てて置いた。私を見ていた土方が目を反らす。

「高杉…?」
「いや?なんでもねえよ」
「そう?」

ああ、と返した高杉が便所と立ち上がった。そして高杉の姿が見えなくなったのを待っていたかのように沖田が私の横にずれた。

「まさかアンタが銀八とねェ。そんな様子ちっとも見えませんでしたぜ?」
「うーん。私も最初は好きとかそういう感じじゃなかったからなぁ」
「どういった風の吹き回しで?俺ァ高杉とくっつくのかと思ってましたぜィ」

沖田の言葉が銀ちゃんの言葉とリンクした。高杉、高杉って。
確かに高杉とは一番仲が良かった。始めこそ滅多に学校に来ない高杉だったけど、土方や沖田とつるむようになってからはちょくちょく顔を出すようになり、そんな中で実は家が近かったと知って放課後も高杉の家でゲームをしたりしていた。

「沖田、退けよ」
「あ、お早いお戻りで」

トイレから戻ってきた高杉が沖田を軽く蹴り、また私の隣に座った。先ほどまでなんともなかったのに、沖田が余計なことを言うから高杉の方を見れなくなってしまう。おかしい、こんなのは自意識過剰だ。銀ちゃんも沖田も仲が良かったというだけですぐ恋愛に結びつけたがる。だとしたら沖田だって神楽ちゃんとあんだけ毎日痴話喧嘩をしていたのだから、これから先くっついたりするのだろうか。

「なに考え込んでんだよ、馬鹿」
「ひたひよ」
「ふっ、変な面」

頬をぷにりと抓った高杉がニヤリと笑った。離された頬をさすりながら自意識過剰すぎるなと自分で反省した。仮にもしも、本当にもしも高校時代高杉が私を好きでいてくれたとして、もう卒業して三年が経っているのだから関係ないことだ。
でももしもそうだったらきっと私は今銀ちゃんと付き合っていなかっただろうにと思った。

「なんか悩みでもあんなら、聞いてやるよ」
「え?」
「俺に話してえことがあるって顔に書いてあんぞ」
「な、ないよっ!」
「うるせえよ、場所考えろ。でけえ声出すんじゃねえよ」

私の髪を撫でた高杉の行動に、首を振ったはずの気持ちが舞い戻ってくる。沖田や銀ちゃんはどんな根拠があってそんなことを言ったのだろうか。


prev next

[しおり/戻る]