流浪の民の謳う古き時代




「三夜、お前行かなくて良いのか?」

扇をパチリと閉じ和仁が言った。

「既に結果は明らかです。私が行ったとしても、さして変わることはないでしょう。」

三夜は澄み渡る空を見て言う。

その様子に和仁はお前らしいな、と言い三夜同様に空を見た。

―――正に平穏。

一方、関ヶ原では天下分け目の戦が繰り広げられていた。

弟の石田三成率いる西軍、その数八万五千

対するは徳川家康率いる東軍、七万五千

急にバタバタと足音が此方に近付いてきた。

「和仁!」

「どうした、紫樹。」

紫樹は和仁の幼なじみであり、現右大臣を務める橘家の人間だ。

勿論、三夜のことも知っている。

和仁本人が呼び捨てで良いと言っているため、紫樹は遠慮なく彼の誠の名を呼ぶ。

「今、偵察に行っていた人間から報告があった。西軍の敗北だそうだ。」

偵察というのは勿論、関ヶ原の戦な訳で…。

その報告に思わず和仁が眉を寄せ、三夜を見た。

「西軍が勝つのではなかったのか?」

と―――

「星は東軍が勝つことを示していました。」

三夜は冷静に淡々と返す。

「東軍が勝てば日の本を治めるのは徳川家康というこになる。それは俺にとって非常に部が悪い。」

このまま徳川家康が天下人になれば豊臣の時とは違い、朝廷が蔑ろにされるのは明らかだった。

さすれば、天皇の権威も落ちる。

和仁としては、それでは面白くないのだ。

「石田三成は敗走。現在行方は掴めていないようだ。」

続けて紫樹が言う。

その言葉に安堵しつつ三夜は口を開いた。

「御上、私には秘策があります。協力して頂けますか?」

無論、このまま終わらせるつもりなど三夜には毛頭ない。

遅くとも一週間以内に三成は捕らえられるだろう。

そして徳川による処刑が行われるのは一ヶ月以内。

それは変わらぬ運命(さだめ)

「ふっ、そうこなくてはな。」

和仁は三夜の言葉に同意の意を示した。

幸い、三夜が石田の人間であることを知る人間はごく一部。

―――数ヶ月後

そこには朝廷が政権を握る形となり一つになった日の本の姿があった。

三夜が何をしたか、それは表の世界に出ることは無かったが後にその乱を後陽成天皇の乱と言う。


あとがき
思いっきりオリキャラ祭りという←
しかも新キャラ登場!!
三夜が何をしたかは、そのうち本編にて明かしたいと思っています。
何時になるか分かりませんが、とりあえず今後の予定的には村雨城が完結したら遠呂智を連載しようと思っています。
ただ、史実も書きたい欲求が!!
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。

20120914



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