「やはり時代が違えば、都も違いますね。」

三夜はポツリと口にした。

「そうなのか?」

「えぇ。」

今日は匡さんに町を案内してもらうことになっている。

「俺はどの時代も変わらねぇと思うが。」

不知火は団子を口に運ぶ。

「でも、治める人間が違えばやはり違います。」

和仁は歴代の天皇の中ではとても癖があった人間だ。
それ故に民に慕われていたのだが。

普通は御上という存在は雲の上の存在なのだから。

「そういうものなのか?」

「そういうものです。」

茶をコトリ、と机に置くと不意に口を開く。

「悪ぃな、三夜。俺、これから仕事あるんだ。一人で旅籠まで帰れるか?」

「大丈夫です。幼子ではありませんから。」

そう言うと、不知火は三夜の頭を撫でまわした。

「そうだな。」

三夜は時々、不知火が自分を妹扱いしているのではないか、と感じ時があった。

別段、三夜も悪い気はしないのでたたえてそのまま放置しているのだが。

不知火が居なくなり、三夜は一人で京の都を散策することにした。

が、やはり女子一人と言うことで絡まれる訳で…。

普通の輩なら問題ないが、攘夷志士となると些か面倒なことになってくる。

「ねえちゃんよぉ、俺達は国の為に日夜頑張ってるんだぜぇ?」

嗚呼、面倒だ。
現在進行形で囲まれている。

「それはご苦労様です。ですが、私には関係ありません故、失礼させて頂きます。」

三夜はそう言い立ち去ろうとするが、やはり上手くいかない訳で……腕を掴まれた。

「待てよ、俺達と遊ぼうぜ?」

「結構です。」

足掛けをし、隙を付くが多勢に無勢。

こちらの分が悪い。

「てめぇ…!」

袖の中に破魔刀を仕込んでいるが女である三夜が抜刀すると後々面倒なことになりかねない。

そもそも破魔刀は邪を滅す為のものであり、対人用では無い。

京の住人は成り行きを見守っていた。

「…そこまでだ。」

そこに一つの鋭い声がかかる。

「……新選組!?」

男達は動揺するが、それを切欠に自棄を起こしたかのように皆抜刀した。

「あんたは下がっていろ。」

浅葱の羽織りに身を包む襟巻きをした青年にそう言われ、三夜は事態の及ばぬ所まで下がった。

青年率いる新選組のおかげで三夜に絡んだ攘夷志士を名乗る浪士はお縄となったのだった。

「怪我は無かったか?」

全てが終わった後、その様子を見ていた三夜に青年が声をかける。

「えぇ、お陰様で…ありがとうございました。あの、お名前を伺っても?」

その様子に青年は驚いたような顔をした。

「私、何かしましたか?」

「いや…お礼を言われたのは初めてだったゆえ。俺は三番組組長の斎藤一と言う。」

助けてもお礼すら言って貰えない職場環境は如何なものかと思う。

もっとも、それは京の人間は長人贔屓だからこそ…かもしれないが。

「斎藤様ですね。いずれお礼に向かいます。」

三夜はその一言を残し、その場を後にした。

――――――
あとがき

一君との邂逅篇!
何故か最初は不知火といるというw
薄桜鬼との絡みは書きやすくて逆に困りますね…(笑)次は一君にお礼に菓子折りを持って行く話を書きたいですね。



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