戦士に束の間の休息を
青雨城の城主を倒した後、一行は次の城を目指していた。
「青雨城の次はなんていう城に行くんだ?」
「赤雨城でござる。」
鷹丸が清正の問いに答える。
そうか、と言った後に清正の目線が三夜に移された。
「そうえば、お前の刀は変わった形をしているんだな。」
そう言った清正が指さしたのは三夜が肩にかけている破魔刀だった。
「これ、ですか?」
肩に掛けていたのを外し前に持ってくる。
「あぁ、日本刀にしては装飾が凝っている。しかも普通の太刀より長くないか?」
その言葉に確かに…そうでござるな、と鷹丸が相槌を打つ。
「それは日本刀ではないからですよ。」
日本刀ではないのだから長さが日本刀より長くても可笑しくはない。
「………!」
日本刀だと思い込んでいた二人は驚いた表情をした。
「これは日本刀では無く、唐太刀(からたち)と言います。最も唐太刀でも、私の使用目的は破魔なので破魔刀なのですが。」
「唐、ということは大陸のでござるか?」
「えぇ。確か今は明と呼ばれているようですけど…。」
そう言い、三夜は抜刀した。
抜刀すると形の違いが顕著に出る。
普段は滅する時にしか使わないため分からないかもしれないが、日本刀よりも唐太刀は長さが長いである。
「その刀、刀身が長いでござるな。」
「今まで気付かなかったな。」
刀をしげしげと眺めそう言った
「にしても、装飾が多いな。」
「先程から申し上げている通り“破魔”が目的ですから、そのための装飾です。」
鞘は黒漆塗りで金具には水晶が嵌められ、柄には紐で結ばれた鈴が付いている。
この鈴が最も破魔の効果が強い。
なぜなら、この鈴は淤加美神に貰ったものだから。
「そのような刀で剣舞を舞われたらさぞ綺麗でござろうな。」
ポツリと鷹丸が呟いた。
「剣舞、ですか…生憎、剣舞は舞えませんが神楽舞なら出来ますよ?」
最も、神楽舞では刀を使わず扇なのだが…。
一時期、とある神社に出入りしていた時に巫(かんなぎ)殿に教えて貰った。
「それはぜひ悠月の神楽舞を見てみたいな。」
「本職の方にはかないませんが…。」
三夜は苦笑いをしながらそう言った。