何とか回収されたようで-case.ベルモット

何とか-何とか回収されたようで-case.ベルモット


「……リ…ニ、ベリーニ!良い加減起きなさい!」
「お、ねぇ、さん?」

ふかふかとした弾力のあるベッドは寝心地が良くて一度浮上した意識もまた暗闇に戻ろうとしていたがベルモットに枕を奪われた私の頭は落下した。

「もう、いつまで貴女は寝ているつもりなの。」
「怪我人なのにひどいです…」

いたた、と腹を抑えながら眠気まなこをこすれば腹の傷が治療されていることに気付く。ベルモットへと視線を向ければしたり顔をされた。

「ちゃんと闇医者に治療させたわ。全く、危うく失血死するとこだったのよ?」
「….…はは、ありがとうございます。」

失血死しかけるのは割とよくあるパターンである。が、基本的には召喚陣など用いらなければそのような事態に私が陥ることはない。むしろ、血液を武器として闘う彼らのがよっぽど失血死しやすいと思うのだが。闇医者、に診せたからこのような一等地にあるであろう質の良いホテルのベッドに私は転がされていたのだろう。

「そういえば、貴女組織の中では死んでることになってるからもう戻らなくて良いわよ。」

サイドテーブルにあったワインをグラスに注いで仰いだかと思えば、ベルモットはそう言った。その言葉に理解が追いつかず小首を傾げれば笑われた。

「ベリーニ、貴女だって最初からスプモーニを殺す為に組織に入ったのでしょう?まぁ、私もそのつもりで貴女をいれたんだけれども。」
「………利害の一致ですね。」

やはりベルモットは最初から知っていて、私を招きいれたのか。

「ところで、おねえさんは何故スプモーニを消したかったんです?」
「あの女、あの方に不老不死になる方法を教える、といってあの地位まで上り詰めたのよ。でも実際の目的は人間の愚かさを嗤うことだった。見ていてイライラするんだもの。」

そう言ったおねえさんに苦笑いする。たしかに、血界の眷属はその長い生から時間を持て余していることが多く、人間を見下している節がある。

「ベリーニ、この部屋は一ヶ月分先に支払いしてあるから傷が良くなるまで好きに使いなさい。貴女と会うのはこれが最後かもしれないわね。」
「組織で死んだのなら、私はベリーニではありません。朔と呼んでください、おねえさん」

部屋を出て行こうとするベルモットにそう言う。その言葉に微笑み口パクで”朔”と呼んだおねえさんには本当に惚れるかと思った。


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