何ともならないのかと激昂して-Last File
何とか-何ともならないのかと激昂して-Last File
観覧車の方へと向かっているとヘリの駆動音が微かに聞こえた。その音にまさか、と思う。確か組織は特注のヘリコプターを発注かけていたはずだ。それは最新鋭の軍用ヘリでアームがついているという話を聞いた。最初はヘリにアームなど、と思ったが…
「なるほどね〜〜クレーンゲームするためにアーム」
その光景を目にして思わずそう言ってしまった。どうやらキュラソーをゴンドラごと奪還するらしい。なんという荒技か。というか誰があれを運転しているんだ…
「さて、どうするべきか。」
安室さんはきっとあの観覧車の何処かに居るのであろうが…ライさんとてFBIなのだからこの騒ぎの何処かには居るはずである。観覧車を睨みつけているとヘリがゴンドラを持ち上げたと思ったらそれを離した。……離した?重力によってゴンドラは落下していく。離したということは中にキュラソーは居なかったのだろうか。
そうこうしている間にガガガガガガ…と甲高い音が響き渡り、観覧車のLEDビジョンが砕け散っていった。どうやヘリに搭載されている機関銃が使用されたようだ。そんなに目立つ攻撃をこんな都会でして良いのか、黒の組織よ…HLならまだしも。ここで考えても拉致があかないため黒煙を上げる観覧車を急ぎ目指した。スプモーニにやられた傷がズキズキと痛むが足を止めるわけにはいない。そうしてようやく観覧車に辿り着いた時、突然花火が打ちあがった。その閃光でヘリのシルエットが明らかになる。ヘリが態勢を崩したかと思ったら、また観覧車への攻撃を再開した。その時何やらとても嫌な音がしたのだが、どうやらそれは聞き違いではなかったようで。観覧車の車軸が集中的に攻撃されたことによって、どうやらノースホイールは土台から剥がれゆっくりひとりでに動き出したのだった。
「………これはまずい。」
このまままっすぐ進めば水族館に突っ込むのは確実だ。ある程度ノースホイールが通る道を予測して観覧車の土台から離れた。これからこの傾斜によりノースホイールは更に加速するはずだ。水族館にはまだ避難していない一般客がいるであろうから突っ込ませる訳にはいかない。普段から持ち歩いているチョークを出し、地面に召喚用の術式を円陣に描いていく。その間にノースホイールは側を横切り通り過ぎた。だが、こちらにとっては好都合。後ろからのが止めやすい。全ての術式を描き終わり腹の傷に手をあて得た自身の血液を円陣に擦りつけた。
『出でよ、緑男(グリーンマン)!』
緑男を召喚したと同時にホイールからサッカーボールが膨らんでるのが見えた。あれはコナン君の…今はそんなこと考えている暇はなかった。
「緑男、あれをとめて」
その言葉を皮切りに緑男が出した草木がノースホイールに絡みつき徐々に勢いを殺していった。そしてギリギリのところで水族館に衝突することなく止まった。おかげでノースホイールに草木が生い茂るような状態になってしまったが。ヘリの音は遠のいたからきっと組織はズラかったのだろう。これだけの被害を出しといてやり逃げか。いや、それはHLでも日常茶飯事だけれども。緑男に礼を言い、召喚陣を足でなじって消したところで体に力が入らなくなった。
「………っ、」
顔面からコンクリートに突っ込む、ということは先ほどの緑男が出した草木のおかげでならなかったが段々と意識が朦朧としてきた。霞んだ視界に見えるのは血塗れの両手で。どうやら血を失いすぎてしまったようである…
どれぐらいそこでうずくまっていたのか分からないが、意識がいったりきたりしている時に複数の足音と話し声が聞こえた。この足音は、
そこから先は意識を失ってしまった為分からない。
そんな私は
▼降谷零に回収される
▼赤井秀一に回収される
▼ベルモットに回収される