何とかなるさと楽観的に


何とか-何とかなるさと楽観的に



「貴女には明日からバーボンと組んで貰うことになったわ。」

金髪が似合う年齢不詳な女優であるベルモットは仕事終わりの車内でそう言った。

「…バーボンってあの?」

秘密主義と言われているバーボンと組むというのは憂鬱だ。こちらは、最近コードネームを得たばかりの新入りであるというのに荷が重い。

「貴女なら大丈夫よ、ベリーニ。」

励ますかのように、ベルモットにポンポンと頭を撫でられた。そもそも、私はベルモットの勧誘によりこの組織に足を踏み入れた…ということになっている。実際は違うのだが。

ことの発端は、牙狩り本部に入った一本の情報だった。通称”黒の組織”と呼ばれる裏の団体に血界の眷属(ブラッド・ブリード)が紛れ込んで良からぬことをしようとしている、という匿名の通報が入ったのだ。どうやら、通報を入れたのはその組織にスパイとして潜入していたCIAの捜査官だったようで、朔が組織に潜入を果たした頃にはもうこの世には居なかったようである。元々、朔は牙狩りに所属していたが大崩落があった時にクラウスやスティーブンと共に元ニューヨーク、現在のHL(ヘルサレムズ・ロット)にいた為、世界の均衡を維持するために組織された超人秘密結社ライブラに所属することになった。

今回の潜入任務が牙狩り本部から、なぜお鉢が回ってきたかというと牙狩りに所属するものは血術を使った特徴ある闘いをするために、一般組織に紛れ込むのに向かないため……である。つまりは、銃や通常の刃物を使っての闘いが不得手であることが起因している。そのため、銃撃格闘術を使う私に話が回ってきたのだ。最初は同じ格闘術を使うK・Kにも話がいったのだが、長期任務をしたら家族と会えなくなるから…という理由で断ったそうだ。この場合、私の使う戦闘スタイルが銃撃格闘術でK・Kと本当に同じなのか、と言ったら違うのであるが。

で、なんだかんだで無事にこの組織に潜り込んでそろそろ半年が経つが、なんとかコードネームを得ることが出来た。ベルモットと知りあったのは、故意というよりは実は偶然だったりするのだが。それはまたの機会に話すとしよう。

その半年の間に掴んだのが、どうやら血界の眷属はコードネーム”スプモーニ”を得ていて幹部クラスらしい、ということだ。そんなスプモーニに近付く機会を作れるように、と私は組織から下される命を淡々とこなしていた。その間にどうやら、ライブラには何人か仲間が増えたようだ。

「じゃあ、明日此処に向かいなさい。」

ベルモットの車を降りる際に何やら紙片を握らされた。自分の部屋に帰ったあとに紙片を開くと、そこには時間と場所が記されていた。

シャワーを浴びたあと、ベッドにダイブして仰向けに寝転びながら紙片を見つめる。バーボンと接触することで、スプモーニに近付くことが出来るのだろうか。不安を一抹に抱きながら微睡みへと身を任せた。
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