はあ。本当に堪え難い。中学生男子と女子がイッチャイッチャする様子。知ってるキャラと、自分にそっくりな女の子が、イッチャイッチャする様子。…しかも、それは私が昔々に夢見たものだった。それが何より堪える。もう嫌だ帰りたい。
「苗字さん」
屋上での集まりにとうとう堪えきれず、先に教室に戻ると言い放った。フタ子はついて来ようとしたけど、次の時間の準備がしたいと断った。
そして、一人でそこを脱け出したはずだけど、どうやら柳生は私の後を追ってきたらしい。
「何か用?」
出来れば関わりたくないんだけど。柳生は、まあ、彼の性格的に余計なことをするタイプだとも思えないけど、とにもかくにも触らぬ何やらに祟り無しというわけだ。
「…………」
しかし何も言って来ない。意味がわからん。彼は何を言おうというのか。この逆ハーレム世界の中ならばフタ子のことだろうか。そうだろうけど。
「何もないなら行くよ?」
「何故、あなたは私たちを避けるのですか」
……ちょっと、よく、柳生さんの仰る意味がわからない。
「人見知りというわけでもなさそうですし、何というか、意図的に私たちを避けているように思えて」
よくもまあ、この短時間でそこまで見抜いたものですね。
「とは言っても、別に害なんてないでしょ」
「フタ子さんが……」
頬を少し染めて、だけどそれを悟られないよう眼鏡を押し上げる姿すら苛立たしい。
「妹さんが…悲しそうにしている姿は見たくありません。だから、仲良く……」
「断る」
結局、フタ子のために仲良くしてくれってことでしょう。もういいよ、そういうのは。