黒歴史 | ナノ

「いってらっしゃーい!」

 私より先に出勤するママとパパを見送った。いつもなら私の方が先に家を出るのだけど、今日は朝練に参加しなくても良いことになっているので、ゆっくり朝ごはんもお弁当も用意出来る。着替えも髪のセットも……いつもより完璧!ばっちり!今日も一日良い日になればいいなあ。

 なんて心の中では明るく考えていても、鏡の前の自分は違った。いつもより念入りにアイロンをして、髪の妙なクセもちゃんと直せて嬉しいはずなのに、なんとなく、なんとなく元気がないように見える。…理由はわかってる。ちゃんと向き合わなければいけないことも。だけど、怖い。今まで大切だったものが、すべてなくなってしまいそうで。酷いことをしているのはわかっている。けど……。


「あ、服装検査」

 ふいに口から出た言葉で、そういえば最近服装検査が行われていなかったことを思い出す。やばい、弦一郎に見つかったらすごく怒られちゃう。あの大きな声で怒られないに越したことはない。慌ててスカートの丈を直した。
 おかしいな。どうして服装検査なんて言葉が出てきたのだろう。これで本当にもし弦一郎が校門前に立っていたら、それこそ本当に超能力みたいだ。私が超能力者なら、すべてうまくいくように仕向けるのに……なんて、無理だろうね。

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