※一万打企画リクエスト
けいさま「癒される主人公」
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「ね、ねえ…お昼ご飯のことなんだけど」
幾日か連続で同じお昼ご飯のメニューを体験している。フタ子お手製のから揚げと、卵焼きの入った可愛いお弁当。女子力高い…私だって始めこそはお弁当も作ってはいたが(ほとんど冷凍)、今やコンビニ弁当で済ますに至っているというのに。だから、正直おかずが連続していようが苦痛ではなかった。ただ苦痛なのは"誰と、どこで食べるか"であった。
「無理言ってごめんね」
「いいよいいよ!きっとあいつらと一斉に会えば、人見知りの名前には堪えると思う」
私は人見知りである。あんまり多くの人と一斉に会うのは辛い。今日のお昼ご飯は二人だけで食べたい。そう言うとフタ子は快く了承してくれた。だから、今回は屋上へ行かず、私の机に向かい合って二人きりのお昼ご飯である。自分の顔を前にしている、とはいえ、随分前に慣れてしまったし、仕草や性格だけをとってもフタ子はとても可愛い。あの悪魔どもがいつ来るかわからない不安と緊張を抜きにすれば、フタ子と一緒にいるのは落ち着く。
「そうなると名前はテニス部の彼らは苦手かもしれないね。朝、門で会った弦一郎とか、休憩時間に絡んできた雅治とか」
「苦手。絶対苦手。絶対無理」
近づけないでくださいお願いします。
「その代り、良い人もいるよんだ?初対面だとだいたいは面倒だけど…ジャッカルとか、すっごく優しいよ!」
「フタ子が言うなら仲良くできる気がするよ!その…ジャッカル君限定で」
ジャッカルなら大丈夫です!ジャッカルだけなら大丈夫です!!
なんて心の中で思っていても、この子は、根はとても優しい子だから…。
「だけどね、すごく癖も強い人たちばかりだけど、みんな優しくて仲間想いで、」
きっと、みんなが仲間で、みんなで笑い合って、楽しく、平和な日常を願っちゃう女の子なのだ。
「名前とも是非、仲良くなってほしいな」
それはみんながフタ子のことが好きだからなんだよ。私のことも思いやってくれるフタ子だからこそ。…そう、それは私の空想物語・黒歴史であって、今の私ではないのだ。
とは流石に何も知らない子に対してそんなこと言えないし、そもそもこの子が可愛いのは事実だし。なんとはなしにお姉さん気分で彼女の頭を撫でた。柔らかい髪だなあ。撫でられた妹はやや驚いた後、くすぐったそうに目を細めた。心穏やかなお昼ご飯。普段なら体験できないこういう時間もいいかもしれない。
13102013 一万打企画
けいさま
「逆ハ主に癒される主人公」
リクエスト有難うございました!