「ここ数日殴りたくて仕方なかったからね。いやーすっきりしたー!」
赤也の悪魔化は、仁王が出した「真田」というワードで阻止、そして奴は逃げるように去って行ったし、事件は平和的に解決されている。
「天使化なら可愛いのに…」
「悪魔化はあっても、赤也に限って天使は有り得んぜよ」
おおっと。時間軸的には、まだ天使化していらっしゃらないということかな。というか、今は一体“いつ”なんだろう。…黒歴史だし、ご都合主義のパラレルワールドって感じなのか。
「あっ、あー…そうだねー」
「そうとも言い切れない。悪魔化自体普通ではないし、天使化も生じる確率……14%」
後ろからヌッと現れたるは柳蓮二さん。14%というのはえらく消極的な数字。後にその14%が来てしまうというのに。
「ところで、えらく仲が良いようだな」
仁王とお互いに顔を見合わせる。柳のその言葉は同時に「なぜ仲が良いのか」といった疑問も含まれる、と思う。何と言えばいいのか。迷っていると、適当な返事に定評のある仁王さんが飄々とお答えなさった。
「運命のいたずらで通じ合った仲じゃ」
「…知り合いだったのか」
「ま、まーね」
はずれてはいないけど、いくらなんでもその言い方はない。柳なら興味を持たないはずはない。しかし、実際にその状況にあることを把握していない人に説明したところで…まずい気もするんだけれども。
「参謀、苗字と仲良うなりたいか?」
「何だ?興味深いな」
「苗字に一遍殴られてみんしゃい」
「……今日のところは遠慮しておこう」
絶対引かれてるよね。仕方ない。
いやでも、案外柳にグーパンチ決められるのも遠からず、といったところだろうか。彼の興味を最大限に惹きつければ、なんとか殴れるのかも!なんて怖いことを考えてしまうのである。