黒歴史 | ナノ

 な、なんてこった…!黒歴史の繰り返ししかないと思っていたのに、まさか、まさか同じように逆流する人がいるなんて。いや、言い回しとしては"いる"というより、逆流するように"なる"方かな。

「紹介するね!こちらは、私がマネージャーをしている男子テニス部のレギュラー。で、こっちが私の双子の姉の名前でーす」

 フタ子の愛らしい紹介にうっとりする3年レギュラー陣。しかし、今日だけは仲間はずれがいた。もちろん仁王雅治である。

「のう、昨日も同じことやらんかった?」
「だから言ったでしょ。全部巻き戻ってるんだって」
「朝練が昨日と同じメニューじゃったんはそのせいか」
「よく気付かずにいたね」

 フタ子にべったりな奴らとは逆に、仁王はわたしにべったりだ。コソコソと現状について話す私たち。まあ、話すとはいっても、仁王の質問に私が「わからない」と返すだけの作業。

「…だからそれが全部巻き戻ってんのよ」
「どういうことじゃ」
「私にもわかんない」

 ……というより、こいつは何故こんなにも冷静なのか。本当に中学生かよ。あ、これは禁句かな。


「仲が良いんだな」

 こちらなんて気にしてもいないと思っていた柳が突然私たちに向かって言った。いや、気にしていなさそうにみえて、ちゃんと気にしているのが柳という男だ。
 それに私が反応する前に、すぐに相方が立ち上がった。

「転入生じゃし、可愛いフタ子の姉じゃ。当然仲良くせんと」

 そして、乱暴に私の腕を取る。

「そういうわけだから、ちょっといろいろレクチャーするナリ」

 誰かが何かを言う前に、強引に腕を引っ張られて、屋上を後にする。

 ドアが閉まる前にフタ子に名前を呼ばれた気がしたが、あんたはどうせこの後ブン太とアーンするんだから放っておいてくれてもいい。むしろ、仁王から話を聞き出して、何か手がかりを得る方が先かもしれない。

 
 というわけだから、多少乱暴だろうと、仁王を許してやることにした。

back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -