黒歴史 | ナノ

「名前ー朝だよー!早く起きないと初日で遅刻しちゃうよ!」
「ファッ!?」

 緩やかな目覚めが欲しい。
 "遅刻"というワード。突然身体にのしかかる重み。誰かに起こされるということ。どれも心臓に悪い。
 同じ景色が三度目、かつ、なんとなく状況も把握しているとなると、これからの出来事に驚くこともない。

「おはよー名前!朝ごはんもう出来てるよっ」
「はいはい」
「"はい"は一回!」
「はーい」

 顔を洗って、歯を磨いて。そして用意された朝食を食べて、フタ子の話を聞いて。

「ママとパパはもう出掛けちゃったよ。名前の転入初日を見送れなくて残念がってた」
「そう」
「だからね、私が付いてるから大丈夫って言ったら、今まで一緒にいれなかった分、フタ子は名前にべったりなのねって」

 ほんの少しだけ、ちゃんと時間が進むんじゃないか、むしろ元の世界に戻ってたりして、なんて期待したけど、まったくの無駄だった。さて、今日はどうしたものだろう。同じ奴らに同じ対処して。繰り返して。埒があかないじゃないか。打開策を、どうにか打開策は……?

「食べたら早く制服に着替えて!本当に遅刻しちゃうよー」
「おっけー」

 三度目となる着替え、ともなると、もうきっちり着る必要もないんじゃないかな。ギャルギャルしく着崩すのは、歳だし、というか元々好みではないけれど、ちょっとくらい短くしてもいいよねえ、スカート。第一ボタンも気にしなくて良いよね。

「どうせなら同じくらい短くすればいいのにー」
「そこまで勇気ない」


 何かを変えないと、先には進めない。何かを変えても、先には進めない?

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