黒歴史 | ナノ

 昨日の丁度この時間は、屋上の集まりに堪えきれなくなった私の後を柳生が着いてきて、面倒なことを言われたんだっけ。

 だけど、柳生は来ない。

 それもそのはず。今回は柳生に目敏くそのイライラが見つかる前に逃げてきたわけだし、実は彼に何か言われないよう細心の注意も払ってきた。人見知りのフリと、席を立つ時の軽い会釈。敵意はないのだという印。関わることをやんわりとお断りしたのである。
 フタ子に対しても注意を払う。フタ子に話しかける時はなるべく笑顔、フタ子好き好きアピール。私たち、仲の良い双子なんですアピールを以て、柳生が口出し出来なくする。

 ものすごく、面倒です。

 まあ、現実世界でもこういうことは何度もあったし、私が大人であるということを忘れなければ大変なことでもない。イライラしたって仕方ないのだ。穏便に事を運び、冷静にこれからどうするかを考えなければならない。


 さて、どうしよう。


 問題はふたつ。この黒歴史ワールドにトリップしてしまっていることと、この黒歴史ワールドが繰り返されていること。
 最終目標は元の世界に帰ることだ。だけど、それを紐解くための要因、この世界に来た原因はまったくわかっていない。もちろん、繰り返されている原因も。

 ただ、問題解決の糸口としては、もしかすると現実世界に帰るよりも、時間が繰り返されていることを解決する方が何とかなるのかもしれない。この世界に来てから起こったことだし。

 で、私がするべき行動と言えば……。

 結局のところ、様子見としてこの世界で生活するくらいしか方法がないわけです。むしろ積極的に関わらなければいけないかも?……いやいや。

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