黒歴史 | ナノ

「はあ…もう最悪……」

 こんな状況になるくらいならストレスフルな社畜生活のがまだマシだ。断然マシだ。社蓄、とはいうものの、休みもちゃんとあるから納得して働いていたし、何より人間関係上ではとりわけ問題もなかった。中学生の方が面倒って何なの。

「もう嫌だ耐えられない帰りたい関わりたくない……」
「ほう」

 後ろから相槌。私の辛さをわかってくれるのか、柳よ。…そんなわけないわな。盗み聞きなんてやめて欲しい。

「何をそれほど嫌がる?」

 お悩み相談とは優しい男じゃないか、柳よ。なんて、そんなわけないわな。

「言ったところで、どうせわからない」
「俺には膨大なデータがある。過去のデータと照らし合わせたとき、論理的な解決策が見付かるかもしれないが」

 柳には、トリップして自分の黒歴史時代をまざまざと見せ付けられた人のデータなんてないでしょう。わかってもらってたまるか。彼に溜まった鬱憤を晴らすように投げ掛けた。

「だって、アンタたちみんな、フタ子のこと好きでしょ」
「僻みか」
「違うよ。呆れてんの」

 フタ子の可愛さに。フタ子に夢中なレギュラーたちに。そして、過去の私に。

 しかし、柳に話して幾分かスッキリしたのも確かだし。データマン柳でさえ、私が置かれているこの状況は想像もつかないだろうことが、おかしく思えてしまう。こっちが翻弄されるだけでなく、振り回してやるのも良いかもなと考え始めた。

 うん。明日からはもう少し受け入れられるんじゃないかな。…………無理かな。


「はー…明日からはもうちょっと中学生らしくしなきゃね」
「…………そのようだな」

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