あの子は自由人 | ナノ

演繹法と帰納法

「演繹法の反対が帰納法で、演繹法はデカルトで帰納法がベーコン…」
「肉食いてえ」
「…よくこんなオッサンに食欲湧くよね。丸井尊敬するわ」

 授業中に配布されたプリントをめくり、丁度その範囲の部分を開いて見せる。フランシス・ベーコン。イギリスの政治家であり哲学者。彼についての説明は省くとして、そのでっぷりした肖像をトントンと苗字は指差し、笑った。

「ジャッカルが食うってよ」
「はあ!?」
「ジャッカル先輩ってそういう趣味あったんスか」
「俺んことチラチラ見とったんは…まさか…」
「ええええい!!お前ら静かに勉強できんのか!!!」
「真田が一番声でかい」

 確かに弦一郎が一番うるさい。苗字は自分が話の発端であることなどまったく気にも止めずに、俺の方に身体を向けた。

「何だ」
「演繹法と帰納法って、どっちがどっちだったか、いまいち定着しないんだけど」

 一から丁寧に説明をしろ、ということか。問えばどうやらそういうわけじゃないらしい。

「どっちがどっちかわかりやすい例えとか覚え方を考えてよ。お題、切原」
「あ、赤也で、か…?」

 自分は丸々そのまま暗記してしまえるから、覚えやすい覚え方など考えなくとも良い。赤也に勉強を教える時など使うのは、読んだ参考書の受け売りだったりする。どうしたものか。
 普段、苗字が考えて実行する悪戯は、意外にわかりやすかったりするから回避することは多いが、たまのたまに集中的に来るイジメのようなそれは、未だにうまく対処出来ない。

 とはいえ、真剣にそんなことを考えてしまう俺も俺なのだが…。さて、どうしよう、赤也。




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柳に普段から嫌がらせ受けたりする自由人は、たまに柳用の面倒くさい仕返しをするって話。前半の会話必要ないよね。演繹法と帰納法もいらないよね。関係ないよね!高校の頃、演繹法と帰納法がいまいちどっちかよく覚えられなかったなあ、と。まず、中学生の範囲なのか…?

「知は力なり」!

 

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