あの子は自由人 | ナノ

言って退ける男前

 さて、今年もこの時期がやってきたわけだ。背も低いし体格もまだまだひょろひょろで可愛い新入生たちが、わらわらと集まって列を成す。…もしかすると受付に苗字を置いたのは得策だったのかもしれない。とはいえ、女子マネージャーがいるとぬか喜びしている新入生ども、残念だったな。彼女は"女子"じゃない。俺がひとりほくそ笑む横で、赤也と仁王もニヤニヤ笑っていた。地獄を見るのはこれからである。

 ちなみに現時点で女子マネージャーは募集していない。まずは男子マネージャーを作って、それでも足りなければ仕方ないかな、くらいで。よっぽど苗字みたいな素晴らしい人材がいれば別だけど、来るのはだいたい同じような女の子。
 意気込んでマネージャーを希望して来る女子達を、適当に追い返すのも苗字の仕事だ。女子の勢いって、男子じゃ敵わなかったりするし。面倒を見るのも殆ど苗字の仕事だからなあ。


「な、何故ですか!?」

 突然、高い声が響いた。見ると、新入生と思わしき女の子2人が受付に座る苗字に詰めよっている。

「何故、と言われても。女の子は問題も起こるし、今のところは募集してないんだよ」
「だったら何故、あなたはテニス部のマネージャーが出来るんですか?」
「レギュラーの人たちに個人的に気に入られてるって本当ですか!?」

 そりゃもちろん、気に入られてるからだ。そもそも俺たちが勧誘したんだからなー。ただ、レギュラーに気に入られてるから続けられるんじゃなくて、テニス部員全員に気に入られてるから、なんだけど。

「そりゃもちろん、気に入られてるからだよ」

 彼女が発したこの言葉に、俺たちも、その他の部員も、新入生たちも固まった。自覚あるとはいえ、その言葉を平然と言ってのけるなんて男前にも程があるだろい。

「私、仕事出来るんで」

 女の子たちはそれ以上何も言えなかった。何を言っても敵わない、とわかったのだろう。

「それ以上でも以下でもない。そういうことが冷静に判断出来るようになれば、君たちもマネージャーになれると思うよ」


 あのマネージャーの先輩、かっこいいですね。後輩がそう呟いたのが、なんかすごく誇らしかった。彼女は今年度も相変わらずのようです。

 

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